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VI. 神戸港を起点とする海上観光航路の課題と対策

 

1. 神戸港を起点とする海上観光航路活性化に向けた課題

 

以上の検討結果を踏まえ、神戸港を起点とする海上観光航路の開設にあたっての課題について整理する。

 

【基本的な考え方】

一般的に、大量輸送性、経済性に優れる海上輸送は、島国のわが国においては地域間の物流を担う輸送機関としての役割を果たしてきた。

一方、旅客船事業は、船が持つ独特のロケーションを観光資源にできるという特性を有している。すなわち、その魅力としては、海上から風景を観賞することができること、海という広大な空間に身を委ねることにより非日常体験を得られること、日常の煩わしさを離れてゆとりのある時間を過ごすことができること、陸上から離れた閉鎖性の高い独特の空間を提供すること、潮風を肌で感じることができること等があげられ、その典型例が観光船事業と云える。

前述のとおり、平成12年10月から海上運送法の改正による規制の見直しが行われ、旅客船事業間又は他の交通機関との間での競争の促進が進むものと考えられるが、その際この「観光資源」を如何に有効に活用するかという点も旅客船事業者が考慮しなければならない点であると考える。

また、各船社が前述した観光船の魅力を生かしていくための企業努力を行うことが不可欠である。それと、今後、観光船を利用した余暇活動や日常生活圏外への移動を、一層魅力あるものとするためには、少子・高齢化の進展、国際化の進展、余暇価値の変化、経済の低成長化、情報化社会の進展といった社会経済環境の変化に観光船が柔軟に対応していくことが求められる。

 

図表VI.-1. 交通機関の特性比較

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