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●船舶保有による初期投資コストや減価償却費が大きな負担

・新造船獲得のための初期投資による借入金返済・金利負担等は、事業上の大きな負担となる。また、減価償却が終了した船舶を使用することで収益を確保している例も多く、「どのように船舶を持つか」が事業採算に影響する大きな要因となる。

 

 

3. 航路形態ごとの事業特性

 

(1) レストラン船

 

・乗船料のみではなく、料理代金を含めて売上げを確保するという事業である。

・後背人口の多い大都市圏での展開が多くなる。

・料理の付加価値付けが鍵となり、各社とも様々に趣向を凝らしたサービスを提供している。

・大きく分けて、高級志向のコース料理を提供する船か(高コスト高リターン)、船上バーベキュー・鍋など比較的手の掛からない料理を提供する船(低コスト低リターン)かに区別される。

・高級志向の場合は、船内の雰囲気づくりが重要視される。特に、通常のレストランに比べると高価格となるため、+αの魅力付けが重要となる。

・サービス要員の適切な人員配置もコスト削減上は必要。このため、アルバイト対応している事例も多くなっている。

・料理を事前に準備するため、予約客が中心となる。このため、飛び込みの一般個人客にとっては気軽に利用しにくい面もある。

 

(2) 観光遊覧船

 

・乗船料のみで収入を得るため、船費の削減が大きな課題になる。

・観光船そのものよりも、周遊するコース自体の魅力や、発着する港周辺の魅力が重要視される。

・採算的に厳しい状況にある事例が多い。

・団体のチャーター利用による利用数確保を行っている事例が多いが、定期便との利用調整が鍵となる。

 

(3) 観光地アクセス船

 

・観光地の集客力に依存する。また、片道のみの乗船(午前:観光地へ、午後:観光地から)となるため、船舶運航上の効率が悪い。

・総じて採算的には、厳しい状況にある。

・移動時間や料金設定の点で、競合する陸路よりも有利な条件がないと厳しい。

 

 

 

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