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第6章 大阪港の港湾運送事業の経営基盤強化方策導入による効果並びに強化方策促進にあたっての課題と対応

 

1. 経営基盤強化方策導入の効果の推定

1) 共同化促進の効果

大阪港において、既存の事業協同組合の活性化並びに新規の事業協同組合の設立によって組合参加事業者にもたらされる効果は以下のとおりと考えられる(表6-1.)。

 

表6-1. 事業協同組合化によって港湾運送事業者にもたらされる効果

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大阪港では、新たな労働者最低保有基準の達成が自社だけでは困難な事業者等が新たに事業協同組合を設立し、保有基準の達成を図るとともに、共同化を促進し、上表に示したメリットを享受しようとする動きが見られる。また、すでに事業協同組合に加入している事業者においても労働最低保有基準の引き上げを契機として、共同事業の推進などにより組合の活性化を図ろうとしている。

大阪港における港湾運送業務の多くは船社・荷主−元請−下請の結びつきが強い「タテワリ体制」のもとで行われている。したがって、港湾荷役(船内、沿岸)の作業部分での共同化は必要ではあるがむずかしい、という考え方が一般的であった。しかし、作業量の波動性に対応し、労働力の稼働率を高め、貨物単位量当たりのコストを削減するためには「共同化」は有効な方策である。また、事業者間で異なる作業量の波動性によって生じる労働者の過不足に対し協同組合による事業者相互間の労働者の斡旋は有効であろう。

まず、荷役機械の共同使用については、すでに事業者間で機械の貸し借りが行われており、比較的導入しやすく、効果もあげやすいと考えられる。港湾運送で使用される荷役機械の中には小型フォークリフトのようにフル稼働しているものから、サイドシフトフォークリフトなどのように特殊用途のため利用頻度が低いものまでさまざまである。

 

 

 

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