日本財団 図書館


現在では、患者、家族、医者、医療スタッフ、ボランティアなど、病院に出入りするすべての人に対して、美術、舞台芸術、文学などさまざまなプログラムを導入しています。導入される作品は、主に地元ノースカロライナのクラフトや、地元に住むアーティストの作品を活用しています。また、地域の人が創ったキルトを展示したり、小児病棟の中庭には鳥の巣箱を並べたりしています。

眼科では、ノースカロライナの美術館から作品の長期貸し出しを受け、触れる美術展示を行っています。訓練を受けたガイドが視覚障害の患者を案内し、目の見えない患者にどう触ったらいいか、どう感じるかを助言し、患者もそれによって美術を楽しみ、触ることの意味を理解します。

 

■主なプログラム

・展示プログラム

院内の数カ所に展示ケースがあり、50点ほどの作品を1年を通じて展示しています。その多くは、地元のアーティストの作品ですが、病院のスタッフにも自分たちの作品を展示するように勧めています。また、展示する作品の選択には、多くの病棟で看護婦やスタッフが関わりました。患者やその家族、病院関係者が毎日作品を見ることを前提とするからです。

・ルームサービス

音楽家が部屋を訪れ、音楽の出前ワークショップを行います。これは無料であり、患者は断ることもできます。病院は患者が断ることの難しい場所ですが、このサービスは患者が病院内でノーと言える珍しい機会なのです。

・文学の円卓

スタッフが毎週金曜日の昼休みにテーブルを囲んで集まり、詩や小説について話し合う集まりです。このグループが毎年主催する詩のコンテストには、患者の家族やスタッフから、毎年100点ほどの出品があります。すべての作品を展示ケースに1カ月間展示し、また冊子にまとめ、出品者に配布したり、待合室への設置を行ったりします。

・スタッフによるミュージカル・レビュー

医師、看護士、栄養士、事務員などが協力して上演し、たいへん人気があります。舞台に立つスタッフを全面的にバックアップするために、プロの監督、振付け、ステージバンドや音響が雇われます。このレビューを行う費用は外からの助成金によってまかなわれ、チケットの収益金は病院内のさまざまな慈善サービス、たとえば、遠くから緊急医療のためにやってきた患者の家族のホテル代などに使われます。また、ミュージカルの練習をとおして、スタッフの絆は強くなります。

 

084-1.gif

病院スタッフによるミュージカル・レビュー

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION