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葛藤を乗りこえる過程にこそ

ボランティアどうしの交わりからかけがえのない友人を得たり、その仲間たちと共に学ぶ場を与えられたり、それを自分で企画することで問題を深く考え、試みつづけることができることは私にとっての貴重な体験学習です。

そう考えてみると、この電話相談が存在する社会的な意味について、ボランティアとして自分で考え、見いだしていくプロセスをおもしろいと思うからこそ、活動を続けているのかもしれません。

しかし、たくさんの相談員が養成されながら、やめていく人が多いのも事実です。匿名性によって起こるいたずら電話や電話依存などにボランティアが振り回され、傷ついたり無力感が大きくなることもあります。ボランティアどうしの関係の難しさや、ボランティアゆえの義務と責任と判断の曖昧さなども、ボランティアがやめていく原因のひとつと考えられます。

ただ、このような理由によって起こる内面の葛藤、その葛藤を乗りこえていく過程にこそ、ボランティア活動の意味があるとも思います。

研修グループやスーパービジョンなど、実際にサポートするシステムが機能していますが、なかでも、仲間どうしの交わりは大きな支えとなります。さまざまなつまずきを経験しながらも、互いの経験を分かち合うことで、いつのまにか乗りこえ、活動を続けていくことができることもあります。

私たちの活動はボランティアが支えている、ボランティアが創っていくものであると私自身は考えています。

 

 

 

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