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仕事というより、人間として成長させてもらっていると感じます。学んだり、成長することができる材料は、人との関係だけではありません。空を見て「気もちいい」とか、葉っぱの色が「あ、きれい」と思える一瞬にもケアされているのかもしれません。

仕事を続けるなかで、自分にないものに気づかされ、学ぶことが大きい分、つまずくこともたくさんあります。マンツーマンの介助が多いので、相手との関係がとても重要ですが、言いたくないことを言わなければならないこともあります。伝えたいことがきちんと伝わると、大きな喜びにつながりますが、ゆがんで伝わったりすると、仕事を続けられるかどうか、自信がなくなることもあります。

 

ありのままでいつつ

働きはじめたときよりも、今はずっと、人はひとつのモノサシで見られないということに気づいてきています。人に対する見方が深く広くなっているという感じがあります。今度はその、気づきつつある自分を施設全体に返していくことが求められると思います。

ありのままでいつつ、自分が変わることで、環境が変わっていくのではないでしょうか。ゴミがなくて、音楽や絵があるというのも大事ですが、やはりそこにいる人がいちばん大きな空気をつくると思います。それが環境ではないでしょうか。

ケアは、自分とのやりとりですよね。こんなふうに話して、自分を振り返る時間はやはり必要ですね。

 

III. 利用者の死に悔いを残したとき

老人保健施設で働く

 

利用者の死に出会う

老人保健施設でケアマネージャーとして働いていますが、去年までは同じ施設で看護婦として働いていました。

看護婦として働いていたときには、利用者が亡くなる場面に何度か遭遇しました。

 

 

 

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