普及啓蒙・海洋情報提供活動
1. 普及啓蒙講演会
MIRCでは普及啓蒙活動の一環として、2000年度海洋情報シンポジウムを下記のように開催した。100名を超す熱心な参加者が会場をほぼ埋めつくし、盛会であった。
開催日時:平成12年11月21日(火) 13時〜17時
会場:朝日新聞東京本社浜離宮朝日ホール(東京都中央区築地5-3-2)
テーマ:「海底地形情報が自然災害・漁場形成に果たす役割」
プログラム
挨拶 沼越達也((財)日本水路協会理事長)
○基調講演:「海底探査からみた日本列島の生い立ち」
平朝彦(東京大学海洋研教授)
○講演:「海底地形情報で知る津波の特異点」
都司嘉宣(東京大学地震研助教授)
○講演:「高潮と波浪に対する海底地形の影響」
高野洋雄(気象庁気象研研究官)
○パネルディスカッション:「自然災害、漁場形成に海底地形データ・情報が果たす役割」
コンビナー:浅田昭(東京大学生産技術研教授)
パネラー:平朝彦・都司嘉宣・高野洋雄・加藤茂(海上保安庁水路部室長)・友定彰(水産庁中央水産研究所部長)
挨拶 岩渕義郎((財)日本水路協会専務理事)
平教授は、地震波や超音波を用いた海底探査、ボーリング調査、潜水艇による海底観察と試料採集等の、四国沖における一連の調査結果を基にして、日本列島の生い立ちを解説された。都司助教授は、北海道南西沖地震津波や1998年のパプアニューギニア・アイタペ地震津波などの調査結果から、津波の特異点は海底地形に深く関わっていること、また紀伊半島尾鷲市賀田湾の津波の異常な増幅は、内湾の固有振動に関係していることを示し、津波予測には詳細な海底地形図が重要であることを指摘された。高野研究官は、1999年に台風18号により、八代海と周防灘で起こされた大高潮が、八代海や周防灘の海底地形に関係していること指摘し、高潮予測に詳細海底地形図が不可欠であることを強調された。パネル討議では、講演を補足する形で、加藤室長が水路部が取り組んでいる海の基本図の整備状況、1983年以降のマルチビーム測深、海底地形調査の狙いなどについて説明された。また、友定部長は、MIRCが作成した日本海と伊豆諸島海域の海底地形鳥瞰図に、スルメイカ、カツオ、サバ漁場を重ね、漁場形成が浅瀬の微細な構造に関係していることを示された。