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2.3 海域区分を考慮した海底地形推算手法の検討

 

2.3.1 推算手法の検討

a. アルチメトリ・データからの推算手法の検討

本研究では、W. H. F. Smith and D. T. Sandwell (1994)の手法に準拠して海底地形を推定する。彼らの手法はアルチメトリ・データから海底地形を推定する手法として広く一般的に用いられている。また、下方接続やフィルタリング、補間等の処理には本研究ではGMT(Generic Mapping Tools)を用いる。GMTは1987年にP. WesselとW. H. F. Smithが地球物理学的データの処理ツールとして開発し、Smith and Sandwell (1994)の手法同様、現在広く一般的に使用されている。

まずSmith and Sandwell (1994)の手法について概略を説明する。アイソスタシー補償理論から、堆積層が薄く海底の起伏が緩やかな場合には、水深と下方接続した重力データは波長15〜160kmの帯域で線形関係になることが示唆される。より短い波長では海底から海面への上方接続のために重力場は海底地形に対して感度が鈍くなる。また、より長い波長ではアイソスタシー補償が成立して海底地形による重力異常はほとんど打ち消されてしまう。Smith and Sandwell (1994)ではこの理論にWiener最適化理論と重力S/N比の経験的な証拠とを関連させてローパス及びバンドパスフィルターを設計し、重力から水深を予測するために用いている。水深予測は二つの波長帯に分けて行われる。一つは船舶音響測深による水深データにローパスフィルター処理をした長波長(>160km)の水深である。もう一つは、フリーエア異常にバンドパスフィルター処理(15〜160km)と海底面への下方接続を行い、それにスケーリングファクターとして伝達関数Sを掛けて得るバンドパス波長(15〜160km)の水深である。最終的には両者を結合して水深の予測結果とする。伝達関数Sは15〜160kmの波長帯で重力データと既存の音響測深とのrobust regressionによる相関関係から経験的に決定される。Smith and Sandwell (1994)では、堆積層が200m未満の領域では重力と水深は99%の水準で顕著な相関を示すこと、これらの領域ではSが海底物質の密度に関連していると思われることが示唆されている。彼らは南緯30〜70度の海域に自らの手法を適用し、水平方向解像度5〜10km、格子点の50%で実際の音響測深の100m以内、80%で240m以内におさまる精度の結果を得ている。その際、地形の凹凸の著しい領域では予測結果は海底地形の最大振幅を過小評価するが、予測結果の図は既存のどんな水深図でも見られない多くの構造的特徴を明らかにしていることがわかった。また、予測結果は波長160km未満で重力場に依存しているため、船舶音響測深線の観測位置決定の誤差に影響を受けにくいが、船舶音響測深データを完全に再現することもできない。従って、構造的特徴の位置決定には使えるが、航海図としては使うべきではない、とも明言している。

尚、今年度の本研究の手順の概観は図2-6〜図2-11に示す。

 

 

 

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