日本財団 図書館


(3) 測量船位置における高さ測量の成果と基本水準面高低モデルとの比較

GPSによる測量船の高さ測量の成果と基本水準面高低モデルの比較を行った。図22に示した基本水準面高低モデルを用いることができ、且つ測量船におけるGPS測量の誤差が水路測量の基準以内であれば、図42に示した各クロスポイントにおいて、図3に示すように、GPS測量により得られた海面の高さから基本水準面高低モデルによる精密基本水準面の楕円体高を引いた値、すなわち潮高は、潮汐観測から得られた精密基本水準面を潮位基準面とした潮位と等しくなるはずである。

そこで、各クロスポイントにおける測量船の高さ、アンテナ高及び精密基本水準面を潮位基準面とした潮位から得られた精密基本水準面の高さと基本水準面高低モデルによる楕円体高の差を求めた。播磨灘の測線クロスポイントにおける測量船の高さ精度の評価を表27に、安芸灘の測線クロスポイントにおける測量船の高さ精度の評価を表28に示す。

その結果、測量船位置における精密基本水準面高と基本水準面高低モデルによる楕円体高との差は播磨灘実験においては平均0.14mであり、安芸灘実験においてはは平均0.40mであった。

そこで、GPS測量と験潮器による潮汐観測から得られた精密基本水準面上における海面高の変化の比較を行った。播磨灘の結果を図45及び図46に、安芸灘の結果を図47に示す。この結果、播磨灘においては約10cm、安芸灘において約40cmの較差が認められた。この較差について、表11及び図23に示した精密基本水準面の楕円体高の実測値とモデルの差から検討した。

播磨灘実験海域近傍の飾磨と赤穂において、精密基本水準面の実測値とモデルの差が、それぞれ-1.3cmと-6.4cmであった。この結果を見ると、実測値とモデルとはほぼ一致している。また、海域実験の結果とも概ね一致する。

一方、安芸灘実験海域近傍の菊間と呉においては、実測値とモデルの差は、それぞれ89.0cm、57.0cmと大きく、実測値とモデルに較差がある。この較差は、海域実験の結果である40cmと近い値であり、特に安芸灘海域においては基本水準高低モデルの修正が必要であると考えられる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION