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2.2 基本水準面高低モデルの開発研究

前項で示した調査結果及び各種資料収集の結果をもとに基本水準面高低モデルの開発研究を実施した。

基本水準面高低モデルの開発研究は、基本水準面の楕円体高、平均水面(ジオイド高)、およびZ0に関する数値シミュレーションに関する情報の収集及びデータベース化を行い水深測量のリアルタイム化を実施するための基礎資料を作成するものである。

 

2.2.1 基本水準面の楕円体高に関する資料収集及びデータベース化

基本水準面の楕円体高に関する資料収集を行うため、前項で測量し解析した基本水準標の楕円体高の結果から基本水準面との関係が明確な56地点のうち安居島及び斎島を除いた54点の基本水準標に対して、書誌741号等等に示されている基本水準面及び平均水面の値を用いて平均水面の楕円体高を求めた。これらを表8に示す。

ここで得られた平均水面の楕円体高データをもとに作成した平均水面の高低モデルを図6に示す。

データは、1200メッシュ/緯度1度、800メッシュ/経度1度とし各辺およそ100mの四辺形メッシュとして計算を行った。またデータの展開手法はBSPLINE法を用いた。

BSPLINE法は、得られた地点の位置データと取得値をもとに区分的に補間多項式を作り、それをつなぎ合わせたもので、データ点から滑らかな曲線を求める数値解析法である。上記で使用したデータをもとに基本水準面の楕円体高に関するデータベース化を行った。

 

2.2.2 平均水面(ジオイド高)に関する資料収集及びデータベース化

測地学におけるジオイドは、海洋が海流、潮汐、気象等の影響を受けて変化していてもなおかつなめらかな面として表現される仮想的に静止した平均水面を言い、地球の形状を最もよく示すものと考えられている。従って、ジオイドは地球重力の等ポテンシャル面のうち平均水面に一致するものと定義できる。

国土地理院では、平成8年度(1996年)に精密ジオイド図及び数値データ5kmメッシュ(ジオイド高)を発表している。数値データ5kmメッシュ(ジオイド高)は、日本全国のジオイド高分布を約20cmの精度で決めたもので、任意の場所の緯度経度からジオイド高を求めることができる。

図7に国土地理院「ジオイド96」を用いて作成したジオイド高の高低モデルを示す。今回作成した図6の平均水面高低モデルと比較すると、全体として東が高く西が低い傾向は両者とも同様な傾向を示しているが全体的にジオイド高モデルの方が低い傾向を示す。特に播磨灘において低い値を示している。

本年度は、国土地理院が公開しているcm単位の日本列島周辺精密ジオイド高成果「ジオイド96」をもとにデータベースを作成した。

 

 

 

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