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○ 案件形成事業

調査件名 船員学校訓練船導入計画

調査分野 船舶

対象国 フィジー、サモア、トンガ

調査期間(日数) 13.1.11〜1.22(12)

参加会員名 (財)海外造船協力センター、三井造船(株)

 

背景

現在世界の船員の多くは、フィリピンをはじめ、インドネシア、マレイシア、ヴィエトナムなどのアジアや東欧諸国などの発展途上国の船員によって支えられていると言っても過言ではない。船員の需給予測によれば、現在職員(Officer)の不足が続いており今後も有資格で有能な船舶職員の不足が拡大すると予想されている。一方、発展途上国が供給している船員の多くは、主に部員(Rating)であり、現在部員数は過剰であり、この傾向は更に増加すると予測されている。

南太平洋諸国の島嶼国は、もともと海洋民族であり現在外国の船会社に船員を提供している。南太平洋諸国は、国土が小さく、人口も少ないこともあり、現在農業、水産業以外の産業が発展する余地が少ないとされ、雇用の機会も少ない状況にある。政府は、人材育成と雇用の拡大、外貨獲得の政策の一環として、船員の養成と海外海運会社への雇用を推進しようとしている。しかし現在南太平洋諸国にある船員訓練学校の多くは、資金不足により高価な訓練機材、練習船を整備することが出来ず、上位資格の職員養成をオーストラリアやニュージーランドに頼っている状況にある。

 

案件概要

上記背景の基に、南太平洋諸国がそれぞれ船員訓練船を所有することは、多額の費用が掛かるため、南太平洋諸国間で共同の練習船を所有し各国の船員を訓練する計画をフィジーとトンガの運輸省で立案され、昨年(2000年)3月フィジーで開催されたSPC(Secretariat of the Pacific Community)で提案され、フィジー政府が南太平洋諸国を代表して日本国政府に船員訓練船の無償資金協力を要請したものである。南太平洋諸国間の調整は、SPCによって行われ、本案件の実施においては、SPCに運営委員会が設置され、予算、運航計画、メンテナンス等について管理される計画である。また本年3月下旬に開催される予定のSPCの会議では、本計画について更に各国間の調整と本計画の詳細が討議される予定である。

なお本船員訓練船では、既存の船員学校は存続させ、そこの卒業生や上位の資格を希望する船員を対象としている。

 

調査事項

フィジー、サモア、トンガ国の各運輸省、船員学校、海運会社およびSPCを訪問し、本案件に対する意見、問題点等を聴取すると共に本案件に関係する事項についての質問および議論等を行った。

 

調査結果

フィジー、サモア、トンガ国の各運輸省、船員学校、海運会社およびSPCの何れの機関も本案件が優れたプロジェクトであることを言及し、早期実現を希望していることも確認できた。また本案件の実現に向けて努力する旨の意向も聴取することが出来た。

 

 

 

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