日本財団 図書館


車社会モーリシャス

モーリシャスでのもう一つのカルチャーショックは絶海の孤島とばかり思っていたところが完全な車社会で、朝晩の車の渋滞とその排気ガスによる大気汚染がかなりひどい事である。最近のTVニュースでは車の保有台数が28万と放送していた。人口の割に多いと感じた。また道路も予想外に良く舗装されている。但し田舎道では簡易舗装に近いが。それにしても全島舗装道路が張り巡らされ、車の便利さは容易にうなずけられる。

島の主な交通手段はマイカーを除けばタクシーと乗合バスである。タクシーは安いし、車も汚いのは少ない。バスは島の隅々まで路線が張り巡らされており、庶民の足として貴重な社会的役割を果たしている。また料金が馬鹿に安い。バス車体も私が来た当事は車体が腐って孔が空きそうなものも走っていたが、どんどん新しい大型バスに更新されつつあり、車体下部の横から噴出す排気ガスの黒煙も少しずつ減っているように感じる。

私はこの国のベッドタウンとでも言うべき島の中央高地にある市街地に居り、そこから車で30分ほどのところにある首都、ポートルイスまで車で送り迎えして貰っている。しかしポートルイスに近づくにつれ、通勤用マイカーとバスで大渋滞である。30分のところを平均45分ぐらい、酷い時には1時間掛かってしまう。政府も年々歳々激しくなるポートルイス周辺の朝晩の交通渋滞を解消するため、新方式の通勤鉄道建設プロジェクトに動き出した。目下私の滞在している住宅土地省の測量官らが一生懸命予定路線の測量を実施している。この鉄道が完成するまでは朝晩の道路渋滞もやむを得ない感じではある。

経済的指標から言うとモーリシャスは既に発展途上国グループから先進国の後部に追いつき、今後ますます発展するだろうと思われる。それにともないこれまで目立たなかった色々な矛盾や困難が表面化することも当然予想される。一例をあげれば、昨年早魃で苦労した飲料水などの水資源確保、廃棄物の増大と環境悪化、大気・海洋汚染の増大とその対策など先進国タイプの問題がだんだん出てくると推定される。それらの問題をどう処理し、美しいビーチや自然の景観を維持していくのかいろいろ難しい問題が出てくるであろう。モーリシャスに縁が出来た今、これからのこの国の姿かたちがどう変わるか興味は尽きない。

それにしても真の国際協力は多様な文化、宗教、言語習慣を偏見無く素直に受け入れ相互理解の上に協力していくことになるがそれは言葉ではやさしいが大変である事を実感している。国際化とは、単に語学をマスターする事では無いと良く分かった。

 

015-1.gif

カトルボーンの町の大通り。車とバスが絶えず行き交い、かなりの混雑。建物は4、5階建てのものが大通りに面して並ぶが、後ろは一戸建ての住宅となる。近くに青空マーケットもある。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION