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6. 海外調査ニュース

 

● 情報収集事業

調査団名 中近東・アフリカC班

調査分野 港湾

対象国 トルコ

調査期間(日数) 12.3.18〜3.28(11)

参加会員名 日本工営(株)

 

イズミール港整備計画/デリンジェ港緊急改善計画

背景

トルコ国の港湾整備に関連する調査は、JlCA案件、JBIC(OECF)案件と多く、我が国のトルコヘの関心は高い。本調査対象のイズミール港は平成10年SAPROF、デリンジェ港はJlCA開発調査(マルマラ海港湾、で調査を実施している。

トルコで最大のコンテナ貨物取扱い実績を持つイズミール港はSAPROF調査で航路浚渫に関して、事業の妥当性が確認されたが、最終プレッジには至らなかった。その後、イズミール港のコンテナ需要の伸びは著しく、既存ターミナル容量450,000TEUに対して、1999年実績では410,000TEUに達した。これに対して、DLH(鉄道・港湾・空港建設総局)はBOTベースでターミナル拡張とパナマックス対応の航路浚渫を含めた入札を実施したが、現在不調に終わっている。

デリンジェ港は昨年、大規模な地震により被害を受け、港湾機能は大幅に低下し、緊急改修計画待ちとなっている。

 

調査事項

・イズミール港で実施中のBOT方式による港湾整備状況と将来の我が国資金援助の可能性

・デリンジェ港の将来的な改修計画

 

現在の問題点

・イズミール港のBOT入札は、今年1月にクローズすることになっていたが、入札者は出現せず、DLHはBOT契約条件を変更する方向で、入札を延期している。現在の入札条件である航路浚渫を含めたターミナル整備では民間企業としては応札するメリットを得られる可能性は低いと思慮される。

・デリンジェ港の災害復旧は、将来の港湾需要を考慮して単に部分的な港湾施設の緊急改修の枠を越え、老朽化した背後施設、用地の再活用を含んだ整備が必要と判断される。公共埠頭の隣接地ではP&O社のBOTベースでのコンテナターミナル建設プロジェクトが契約済みであるが、現在進行していない。

 

今後の見通し

・イズミール港は、トルコ第三の都市イズミールを背後地に持ち、同地区では近年イスタンブール市区域より移転する工業立地が進んでいることからO/D貨物は順調に伸び、コンテナ荷役量はトルコ国最大となっている。今後同港では、黒海諸国の経済進展と共に、地中海航路とリンクしたトランシップメント港になる可能性も大きい、ハイデルパシャ港の能力限界、更にデリンジェ港でのBOTベースのコンテナターミナル建設は頓挫しているような状況では、イズミール港のコンテナ荷役能力の向上は、トルコ国の将来の経済躍進の生命線と言っても過言ではない。

・現在進められているBOT方式による整備の最大のネックは、航路改善コストを民間分担にした点にあり、基本的には、この航路浚渫工事はBOTのフレームより外し、政府で実施せざるを得ない。同国のEIAで決定された航路浚渫土砂による第2コンテナターミナル埋立利用は、浚渫土砂が軟弱で汚染されていることに鑑み、十分な環境配慮が必要となり、日本政府の環境特借も適用されると考えられる。

・航路浚渫分を除いたBOT方式のコンテナターミナル整備ではコンテナ荷役機械の調達が最大の課題であるが、日本輸出入銀行等からの融資が得られればよりFeasibleなターミナル運営が財務上可能になろう。

・トルコ国はOECD枠で、中進国になり、通常のJBlCベースでの借款は難しいと判断されているものの、浚渫等の土木については、十分な環境配慮が求められていることから、世界的に進んでいる我が国の港湾技術を駆使すべきである。我が国からの環境、特別円借款等考慮した積極的な支援が望まれる。

 

 

 

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