日本財団 図書館


まえがき

 

(社)海外運輸協力協会は、平成10年度に運輸省からの委託事業として「航空分野援助方針」についての調査を行い、報告書をとりまとめた。同調査では航空分野における海外援助について見直しを行った。航空分野の援助では、過去に多額の有償・無償の資金協力および技術協力が行われてきたが、ともするとハードウェアに対する援助が中心となり、ソフトウェアが重視されなかったことによる持続性の欠如が指摘された。

世界各国は民間航空における航空機の安全運航の確保とそのための航空従事者の養成は国際的責務である。しかし、その訓練施設、機器、訓練内容は、その国の経済力、航空輸送の活動レベルによって格差が生じている。そこで、先ず各国の人材育成および訓練の現状及び政策、そして将来計画について調査する必要があることが判断された。

当協会は、平成11年度に自主事業として、「アジア・太平洋地域の民間航空訓練センター整備状況調査」を行うこととし、バングラデシュ人民共和国、タイ王国、マレーシアを対象に調査を行った。調査は各国の訓練センターとともに、航空管制業務の実態についても行った。調査の過程で、航空路上の周辺諸国との間に航空管制業務の均一性がないために起こる安全上の問題が明らかになった。調査対象のバングラデシュ人民共和国以外にも、カンボジア王国、ラオス人民民主共和国、ミャンマー連邦等であった。

これら各国は、ICAO基準に則って航空管制業務を行っているものの、現状では航空管制システムの整備および管制処理能力には大きな較差がある。そこで、当協会は平成12年度も引き続き本件調査を行うこととし、調査対象国を11年度調査で問題とされたラオス人民民主共和国、カンボジア王国、ミャンマー連邦と併せてベトナム社会主義共和国とし、民間航空訓練センターの実状と将来計画、併せて、管制業務の現場を調査することとした。

今回は、各国駐在日本大使館およびJICA現地事務所との間に調査の目的、内容について意見交換を行い、そこで貴重なご意見を頂くことができたのは幸いであった。

また、三井物産の現地事務所には前年同様に現地調査にあたり多大なご協力を頂いた。日本無線(株)には調査に特別参加して頂き、無線機器等について数々のご教示を頂いた。

ここでお世話になった関係各位に改めて深く感謝申し上げたい。

 

平成12年12月

 

(社)海外運輸協力協会

理事長 山下哲郎

 

 

 

目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION