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2.4 バス交通の現状

ヤンゴン市のバス旅客輸送に関わる組織は7組織があり、主にRoad Transport(RT)とYangon Division Bus Control Committee(YDBCC)が公共バスを運行している。RTは鉄道運輸省管轄下の国営企業であり、YDBCCは、個人バスオーナー、小規模運営会社を組織した民間バス協会である。個人あるいは小規模バス会社はYDBCCに登録し、路線の開設、燃料調達等を行う一方で、輸送量に応じた運賃収入の一部(約3%)をYDBCCに収めている。YDBCCの運行路線数は83、RTは29で、この両者によりヤンゴン市の主要地域をカバーしている。しかしながら、近年開発が進められた郊外の衛星都市の内部まではカバーできていないのが現状である。市内バス運賃は、YDBCC、RTともに5〜20チャットであり、5年前に比べ、約3倍に上昇している。また、運行系統は、その大部分が、ダウンタウンのSule付近に集中しており、効率的な運行系統とはなっていない。このため、RTでは、ヤンゴン市中心部での運行系統の見直し、ダウンタウン循環バスの運行を計画している。

1994年〜1999年の民間、RTのバス輸送実績は表2.4に示すとおり、1995-96年をピークに減少傾向にある。ヤンゴン市では、都市開発による居住地の郊外化、経済成長に伴い都市人口は増加しているが、統計上のバス輸送実績は減少するという相反する結果となっている。これは、1997年以降の輸入車両政策の変更(車齢10年から車齢7年へ規制強化)及び東アジア地域での経済停滞により新たなバス車両調達が困難になっている一方で、バス路線運行許可を持たない「フェリー」と呼ばれる違法な車両の増加によるものと思われる。「フェリー」は本来、貨物、組織の従業員を運搬する免許しか得ていないが、これらの車両が、パートタイムとして般旅客輸送を違法に行っているものである。また、RTの輸送実績は、1997年以降の政府のバス運営の民営化政策により、著しく減少している。RTへのヒアリングによれば、5年後には完全なバス民営化が図られる予定である。

 

表2.4 バス輸送実績(単位:千人)

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ヤンゴン市都市部には、現在、市南西部のManthawaddy Road沿いに中距離用(200mile以内)のバスターミナルと空港近くに長距離用(200mile以上)のバスターミナルがある。この両者の管理はYCDCが行っている。またYDBCCは市内6カ所にバスベイと呼ばれる車庫を有しているが、その大部分が道路の路肩を利用したものである。市中心部のSule Roadは、多くのバスの起点終点となっており、バスベイ、バス停上屋が整備されている。しかし、多くのバスが集中するためバス停施設は十分ではなく、また資金不足からバス停上屋の老朽化が進んでいる。またその他のバス停は、民間企業からの寄付によりバス停上屋が整備されているところがある一方で、バス停がどこか不明確なところも多い。

 

 

 

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