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図3 外航船と内航船における機器整備

 

表6 機関関係ニアミスと人的原因

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4.2 ニアミスと人的要因の関係

人的要因が関係したニアミスの件数をその要因別に集計し表6に示す。作業者の管理体制を指摘するものが37%で最も多く、次いで作業特性・環境条件(26%)と作業者の個人特性(22%)であった。作業者の管理体制に問題があった主なものは、コミュニケーション(22%)、能力等の確認不足(22%)、マニュアル・チェックリスト等(17%)であった。作業特性・環境条件では、単調作業(16%)、精神的・肉体的負荷の高い作業(19%)、並列作業(15%)が主な要因として挙げられた。作業者の個人特性としては、知識・能力・技術・経験不足(50%)、慣れによる誤り(33%)が二大要因であった。機器・設備の人間工学的設計上の欠陥を指摘するものは少なく、指摘項目もばらついていたが、表示に関するもの、機器の配置に関するもの、作動結果が確認しにくいが主な指摘であった。

 

4.3 機関に関する人的要因のまとめ

機関室では多くの機器を取り扱うため、アンケートの設問も多岐に亘り、設問によっては件数が少ないものもあったが、傾向を把握できるよう項目を再分類して上記のとおりとりまとめた。

人的要因に起因するニアミス事例の内、作業者の管理体制が関与するものが37%、作業特性・環境条件が関与するものが26%であったことから、作業者の管理システム、作業環境を重点的に改善することが、事故の発生を減らすのに効率的であろうと考えられる。そのための対応として、ソフト面では、教育訓練、陸上支援の強化等、ハード面では、操作部・表示機器の集中配置、監視機能の強化、自動化、機器のモジュール化等があげられる。

 

5. おわりに

事故は多くのニアミスの不運な例として浮かび上がり、ニアミスを回数繰り返せば必ず事故につながる。したがって、ニアミスの根源的な原因を明らかにし、ニアミスを減少させる対策を講じることが、事故の減少につながる。

事故原因の8割が人的要因といわれていることから、RR79では船橋における人的要因と機関に関する人的要因をこれまで検討してきて、事故の背景に潜む人的要因をある程度明らかにすることができた。

今後は、人的要因を踏まえた対策あるいは対策方針の策定が重要な作業となるが、これは非常に多方面に亘った問題を検討しなければならない。

(本稿は平成12年度の日本造船研究協会基準研究成果報告会における講演に基づいております。)

 

 

 

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