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1998年及び1999年における成長率を4〜6パーセントと仮定すれば、世界全体の引渡し隻数は年間54隻〜84隻である。さらにオーストラリアの市場占有率を30パーセント(1997年達成された40パーセント以下の水準)と仮定すると、オーストラリア造船所の引渡し隻数は17〜25隻と推定できる。

 

2.2.2 豪華モーターヨット

高速旅客船と比較するとはるかに小規模であるが、豪華モーターヨットは国際競争力が強い市場分野である。この市場はニッチマーケットであるが、非常に細分化されている。この市場分野におけるオーストラリア造船業界の売上は、高速旅客船に比して大きくない。競争力は設計、技術、品質等、非価格要因によっている。

オーストラリアの豪華モーターヨットの設計者・造船所は、その設計、生産技術、品質により世界市場において高い評価を得ている。豪華ヨットは、設計、技術(新素材の使用等)、顧客の趣味がおそらく価格と同程度に重要な競争力の決定要因となっているニッチ製品である。

競争が激しいこの市場において、北ヨーロッパ及び米国の競合造船所に対抗して最高品質を保証する必要がある。オーストラリアの造船所は、豪華モーターヨットの大部分をこれら地域へ販売している(アジアは不況により需要が減退している)。豪華モーターヨットは米国外の便宜置籍され、同国へは寄港という形での販売であるためジョーンズ法(Jones Act)に影響されない。

 

2.2.3 パトロール船及び漁船等の小型鋼製船舶

鋼製船舶については状況が混然としている。軍需分野においては、オーストラリアの船体及び上部構造の製造能力は国際競争力を有する。民需分野においては、輸出向けの鋼製船舶の建造隻数は極めて少数であるが、オーストラリア造船所の競争力は過去よりは改善されつつある。高付加価値漁船が国内市場向けに建造されており、複雑かつ大型な調査船を建造中の造船所もある。

 

 

 

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