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(新議会の見通し)

前述の通り、近年希な拮抗状態で第107議会はスタートする。このため、政策や立法全般が大幅に方針転換される可能性は極めて低い。むしろ、改選前に比べ共和党は勢力を減じ、民主党が伸張したこともあり、産業政策がより競争的なものになるとは考えにくい(少なくとも急激な変化はない)。特に、海事政策は、議会の中でも主要な政策とは言えず、国際的、経済的、あるいは安全保障上の情勢に大きな変化がない限り、主要な議論のテーマにもならない可能性がある。

上院の通商・科学・運輸委員会の委員長にはマッケイン上院議員が留任する見込みであるが、委員のうち、アッシュクロフト(共和党ミズーリ州)、アブラハム(同ミシガン)、ブライアン(民主党ネバダ)の各議員は落選した。ただし、海事関係の主要な論客である上院議員の構成には変化がない。

下院では、運輸・インフラ委員会のシュースター委員長の任期が満了したのに伴い、ドン・ヤング下院議員(共和党アラスカ)と交替するが、委員長の交替が海事政策見直しを加速するとは考えられない。なお、委員の内、エウィング(共和党イリノイ)、フランクス(同ニュージャージー)、メットカルフ(同ワシントン)、ピース(同インディアナ)、カイケンデール(同カリフォルニア)、ワイズ(民主党ウェスト・バージニア)等が落選した。このうち、カイケンデール元下院議員は、故ベイトマン議員(下記参照)とともに、ジョーンズ・アクトの強力な擁護者として知られていた。

さらに、下院では、下院軍事委員会の海事パネル委員長の故ハーブ・ベイトマン議員(共和党バージニア州)の後継者が誰になるかは重要な問題である。ベイトマン議員が今年秋に亡くなった後、海事パネル委員長の席は空席となっている。同パネルは、商船の国家安全保障の面に関する、予算を含むすべての案件の審議権を有している。ジョーンズ・アクト及び旅客船法を巡る案件については、同パネルが討論の場となっており、故ベイトマン議員は両法の内航保護要件の保持を強く訴えてきた。委員長の席をボブ・スタンプ議員(共和党アリゾナ州)、カート・ウェルドン議員(同ペンシルバニア州)の2議が争っているが、スタンプ議員が委員長に就任する公算が強い。

 

 

 

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