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1996年5月以前には、進んで内航制度攻撃に名を貸そうとする議員はいなかった。ウォルター・ジョーンズ下院議員(共和党ノースカロライナ)が法案の提出を計画しているという報道はあったが、実際に提出する気配はなかった。上院にS. 1813が提出され、ジョーンズ下院議員はさらに詳細に定義した法案を下院に提出するつもりだと語った。さらに、2つの委員会(下院USCG小委員会、上院海運小委員会)がジョーンズ・アクトに関する公聴会の開催を予定した。これらの公聴会は、ジョーンズ・アクト議論における一つの転機となった。ジョーンズ・アクトは成立以来、非難しようがないものとされていた。このように公式の場でその是非が詮索されることは、極めてまれであった。

ジョーンズ・アクト支持派、改革派共に、公聴会は自分達の立場を強調する絶好の機会と考えた。プロペラ・クラブの講演で、当時マラッド長官であったハーバーガー氏は、米国海事業界はこの機会に乗じて「外国利害関係者の回し者に反撃」するべきだと語った。

ジョーンズ・アクト改革同盟(Jones Act Reform Coalition)のロブ・クォーテル理事長は、「ジョーンズ・アクトについて国民の知識が高まれば高まるほど、現在の形で維持される公算は少なくなる。なぜならば、(数少ない米国船社や海事労組の利益のために)一般国民は年間100億ドル近くの負担を強いられているからだ」としている。

S. 1813は通商・科学・運輸委員会に付託され、そこで棚上げとなった。同法案の主要条項は以下の通りである。

 

・米国内航(coastal trade)を、五大湖、セントローレンス水路、内陸「混合水(mixed water)」を含む、航洋船の航行が可能なすべての水域と再定義する。米国内陸水運航路は、さらに厳密に定義し、航洋船が航行不能なすべての内陸水路を含める。

・米国籍要件を改正し、沿岸、海岸間、島嶼(非隣接)航路から米国所有、米国建造要件を排除する。

・米国人配乗、米国建造要件は、内陸バージ、曳航航路で保留する。当該航路における米国所有要件は排除する。

 

 

 

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