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アラスカ油田の産出量がどの程度急速に減少するか、またアラスカ国立野生動植物保護区内での石油生産が認められるかどうかによって、キャパシティの需要は大きく左右されるため、この9隻に加えて何隻のタンカーが必要となるか予測するのは困難である。米国会計検査院(GAO)は最近、アラスカ航路及び沿岸航路向けシングルハルタンカーの代替建造についての報告書を発表した。GAO報告書によれば、同局が聞き取り調査を行ったアラスカ海運4社のうち、1社は2003/2004年の間に2隻の補充を必要とするかもしれないと述べており、残りの3社は代替建造を発注するのは時機尚早である、または調達計画は公開しないとしている。

現時点では、今後5年から10年の間に、2010年までに廃止を義務づけられている16隻のタンカーの代替船として、エクソン・モービルとBPアモコがそれぞれ2隻から4隻のアラスカ原油タンカーを発注すると見られており、またフィリップスもさらに2隻購入することも考えられる。これにより、2010年末にタンカー船隊規模は13隻から15隻となり、これは現在運航している内航原油タンカー隻数の60〜70%にあたる。

2010年末までに26隻のプロダクト・タンカーが段階的に廃止される。加えて、12隻の現役一体型タグバージ1のうち8隻が今後10年間に段階的に廃止される。アラスカ航路タンカーと同様に、現存プロダクトタンカー及び一体型タグバージタンカーのうちどの程度が代替建造されるかを予測するのは困難である。GAO報告書によれば、沿岸プロダクトタンカー運航事業者18社に聞き取り調査を行ったところ、代替建造を計画しているのは4社だけであり、残りの14社は代替計画を立てていないか、または老朽タンカーの代替建造を行わないとしている。

 

1 一体型タグバージ:Integrated Tug/Barge(ITB)。一見したところ通常の貨物船と変るところはなく、貨物船と同様に使用されるが、実際は、船尾一推進部(タグ)と船体一貨物部(バージ)は個別のユニットであり、必要な場合は切り離すことが可能である。Dual Mode(切り離して個別ユニットとして運航可能なもの)とPushingMode(切り離されることはほとんどなく、個別に機能しないもの)があり、USCGの検査規則上、後者は一般船と同じトン数測度方法(タグ/バージトン数合計)が適用される。ITBタンカーは実質的にはタンカーと同じであるが、労働組合条約規定上タグ/バージ扱いとなり、タンカーよりも配乗要件が緩いことから使用が増えた。

 

 

 

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