表4-3に1998会計年度にMSPに参画している47隻の船を記載する。
1998年は海運界にグローバリゼーションの波が追し寄せMSPに参画しているAPL、ライクスが外国の海運会社に買収され、米国船主の米国籍船にのみ与えられるはずのMSPの国家安全保障上の問題が提起されたが、両社はMarAdと度重なる交渉の結果、グローバルな舞台で商業活動を続ける一方米国政府と国民の利益を損なわない方法として、買収された会社のMSP契約船を新設の米国籍船オペレーター会社に移籍することで合意され、最終的に外国船主が実権を握るこれらMSP船の国家安全保障上の問題を云々されることは免れた。
この結果1998年APLの9隻のMSP船はアメリカン・シップ・マネージメント社という新会社に、3隻のライクスのMSP船はファースト・オーシャン・バルク・キャリア社(FOBC)という新会社に移籍された。
また、1999年にシーランドがマースクに買収された時は、前述のようにマースク―シーランドが従来の両社のMSP契約船の米国籍を変更しないことを条件に合併が許可されている。
上記MarAdの策は苦肉の策である。名目上は保たれているが事実はMSPの恩典を外国の海運会社に移すことを許可したものであり、わずかとは言え国家安全保障上の問題の最終決定権が外国の海運会社に握られていることは、海運助成プログラムの将来、ひいては米国商船隊の将来に暗い影を投げかけていることは事実である。
シーランドがマースクに買収されたことでMSP船47隻のうち実に31隻が最終的には外国海運会社の実権下にあることとなり、この数字のみから考えればMSPの存在意義を問われる。
(表4-3 マースク―シーランド 19隻、NOL/APL 9隻、CP/ライクス 3隻)