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ジェネラル・ダイナミクスの部門別、顧客別売上高(1998会計年度)

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しかしながら1990年代に入って、冷戦構造の終結による国防予算の縮小を見越したジェネラル・ダイナミクスは、国防部門からの撤退による事業の縮小を決定した。航空機、戦車等の国防関連製造施設の多くが売却された結果、1990年代の半ばには、同社の従業員数は21,000人となり、1980年代末の約5分の1の規模まで縮小された。残った国防関連製造施設のうち最も主要なものが潜水艦建造部門のエレクトリック・ボートであったが、買手さえつけばこれも売却されていたものと考えられている。なお、ジェネラル・ダイナミクスのこのようなダイベストメント戦略は、急激に変動する市場に適応するためのモデルとして多くのアナリストにより取り上げられている。

 

1990年代の半ばになって、ジェネラル・ダイナミクスは事業戦略を180度方向転換し、再び積極的な国防部門の拡大を始めた。同社は、1990年代前半に行った国防関連諸部門の売却により内部留保された相当額の現金資本を用いて、1995年以降20億ドルを上回る戦略的買収を行った。このような劇的な事業戦略転換の背景には、ジェネラル・ダイナミクスが今後10年間における国防部門の市況好転を見込んでおり、同市場におけるメインプレーヤーとなるための足場固めとして積極的な買収をしかけたものと見られている。

 

 

 

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