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こうなると、小規模の借り手は大手銀行からはみ出てしまうので、こういった資本需要に適合した小さな銀行が参加する新しい銀行市場が出現するであろう。

債務は、早い回転率によって自由になった資本が再投資でき、コストも低い(投資に比べて)ので、相変わらず、海運業にとって最も重要な資本源であり続けるでろう。

 

6.8.2 債務-リース市場

税金貸出者の信用条件を満たすことができる大企業化への動向は、効率的タックス・リースの成長をもたらすであろう。これは、船舶リース構造を有利にさせる関連の税制にもよる。海運会社が統合し、企業が信用強化されるに従い、リース契約もより一般的なリース提供者や手配者へと移り、現在、必要なら信用強化を供与している大手の銀行の手から離れていくであろう。

 

6.8.3 債務-ハイ・イールド市場

現在のところ、海運会社の発行は閉ざされているが、ハイ・イールド市場は、良質の借り手に対して、再開されるものと思われる。ハイ・イールド債務商品は、債務の代わりとして、海運業に効果的に使えると思われるが、投資と混同してはならない。EMEにおけるハイ・イールド債市場の成長によって、質の高い海運企業が、EMEベースの投資家やユーロ通貨での発行に道を開く機会を与えるかもしれない。

 

6.8.4 投資-公開市場

海運業が調達した資本に対して利回りを改善することができない根本的な問題は、近い将来の公開投資市場へのアクセスを制限している。逆周期の発行は、投資家に満足な利回りをもたらす結果になるかも知れないが、これは、投機的な投資であり、投資がもたらすべき効果的な資本の供給を発行人にもたらさない。

 

6.8.5 投資-個人市場

個人海運会社における留保資本の調達は、引き続き重要な資本源であり続け、公開投資市場では好まれない逆周期投資のアプローチに向いている。個人投資を築き上げるには、海運市況の改善を必要とするが、現在の大量新造船手持工事が市場に供給されていくので、ここ数年は市況の改善が期待できない。ニッチ市場は通常良い投資機会を提供するであろうし、造船所の過剰建造能力によって、供給過剰と調達した資本に対する乏しい利回りがもたらされるまでは、主流の海運部門でも短期の高い利回りが可能であるかもしれない。

 

 

 

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