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米国の公開債務市場へアクセスするためには、関連証券の正式な登録を行い、米国証券法に従う必要がある。1990年には、より単純な形での登録が可能となり(合衆国証券取引所委員会の規則144A)、米国の国内債務及び投資証券市場が幅広く海外企業の発行人にも解放された。

業界の資本評価の分析を見ると、公募債債務は、EMEの海運業の総資本の2%という、わずかな構成要素でしかない。この31億ドルという資本は、EMEに融資された総債務810億ドルのうちの4%ぐらいのものである。関連の債券債務は全てハイ・イールド債であり、リスクの低い投資には向いていないと考えられる(格付け機関によって非投資等級と定義されたもので、次の項で説明されている)。公開債務市場に加えて、個人投資債務市場がある。

 

5.9 公募債及び手形ファイナンス-投資及び借り入れの規準

投資家がハイ・イールド債務を提供するかの決定と、借入人がハイ・イールド債務を利用するかの決定とは、全く違った規準によってなされる。投資家にとっては、適当なハイ・イールド投資の機会があるかどうかということが決定的である。ここ数年間、投資機会を探す投資資本に大きな成長がみられ、特に米国においてそうである。必要な投資規準を満たしている債券発行のどんなものでも、値段さえ適当であれば、投資をひきつけるであろう。投資規準とは、おもに損失の可能性の査定である。これは、スタンダード&プアーズ(S&P)やムーディーズなどの認知された格付け機関によって、債務証券に対してつけられた格付けに反映されている。こういった格付けは、投資家に他の債券と比較して投資を判断する比較手段を与えているのである。米国年金基金のような、いくつかの投資家達は、投資等級格付けを持った発行債券にしか投資できない。S&Pの格付けでは、投資等級の資格は、AAA,AA及びBBBである。BBBより下のものは全て投機的とみなされる。こういったものは、よくハイ・イールド債やジャンク・ボンドと呼ばれている。S&Pの格付けの定義を、付録3に示す。最近発行された海運会社の債券は全て、投機等級である。表5.Eに格付け毎の債務不履行の状況を示した。

 

表5.E:格付け分類別にみた不履行までの期間

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