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1990年代において、オランダとドイツの船舶抵当銀行は、業界の流れとは逆に、その活動を広げ、彼らの海運ローンのポートフォリオを大きく拡大した。これに対し、伝統的な英国や米国の銀行は、彼らのポートフォリオを減少させるか、もしくは一定のレベルに保っている。3つの主要スカンジナビア海運銀行、すなわち、Chiristiania Bank og Kreditkasse、Den Norske Bank及びSkandinaviska Ensilda Bankenも全体としてみると同じレベルにとどまった。しかしながら、1990年初期には、群を抜いて世界最大の船舶融資商業銀行であったDen Norske Bankは、今日では、大陸の銀行に追い越され、その活動を縮小している。

 

5.5 リース・ファイナンス-海運融資として復活した資本源

リースは主に2つの形態をとる。ファイナンス・リースでは、実際的には、関連資産の所有(海運の場合は、船舶)にかかわる全てのリスクも報酬も、貸出人(所有者)から借入人(使用者)に移され、借入人の支払い(使用料)は、リースされた資産を完全に賄っている。オペレーテイング・リースとは、所有者が所有に関する多くのリスクを持ち続け、関連の資産を複数の借入人にそれぞれ短期間ずつ貸し出し、支払いは資産のコストを完全に賄うものではない。海運業にとって、リース構造の中で最も関心があるのはファイナンス・リースで、特にファイナンスのコストが、貸出人の節税措置を用いて減少されるものである。この場合には、リースは税金の有利な恩恵を受けられるように、税金効率の良い地域で行われなければならない。これは、歴史的には、米国、日本、英国及びドイツであった。税金効率の良い他の手段は、個人投資の合名会社を通して可能である。これは、特にドイツ、フランス、オランダ、また、歴史的にはデンマークやノルウェーがそうである。こうした構造は、本報告書ではタックス・リースとは考えず、むしろ個人投資による資金提供と整理した。

 

 

 

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