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4.3 海運銀行、公開及び政府機関債務-EMEの状況

EMEの海運業に供与された債務の総計は、極東及び米国に供与された債務を差し引いた上で、残りの融資機関による同地域への融資比率を推定することにより見積もることが出来る。同地域の債務総計は、1998年末でおよそ810億ドルと推定される。

この中には、海運融資のポートフォリオで貸付残高1億ドルを超える海運ファイナンスで活躍している銀行45行から供与された612億ドルが含まれている。新造船契約に融資を行う5つの主要政府機関3によるローンは137億ドルである。なお、ドイツのKreditanstalt fur Wiederaufbau (KfW)による総額75億ドルのうちの60億ドルがEMEに供与されており、また、デンマークのDanmarks Skibskreditfond(DSF)による総額53億ドルのうちの42億ドルがEMEに供与されていると見られている。公開債務については、31億ドルが、また、リースについては、30億ドルがEMEの借り手のものとされている。

 

4.4 公開、個人及び政府投資-世界的状況

先に簡単に述べたように、2社の主要クルーズ運航会社により、公開海運株式投資の主要源は北アメリカ市場のものとなっている。他の主要な上場企業は、日本と台湾の主要運航会社で、主に一般貨物部門に集中した活動を行っている。海運事業に直接関係しているとみられる海運関連会社の株式市場における評価額の水準は総額で753億ドルである。株式市場における評価額は、関連会社に対する株主の評価を反映している。この市場価値というのは、根本的な資産の市場価値を正確に反映している場合も、そうでない場合もある。また、株式市場における評価額は、それぞれの株式の流動性、為替レート、それぞれの株式市場の一般的な状況等の影響も受け得る。

VID中の政府管轄船腹の市場価値の総計は225億ドルになる。この額は、第2章で述べたように、流動資産、運転資金をも考慮にいれると、306億ドルにまで達すると見られる。最大の政府投資を行っているのは、DWT及び隻数ベースで見ると、中国である。

出資源の算定方法では、債務、公開株式投資及び政府投資を差し引いた残りを個人投資としており、世界の個人投資は637億ドル、又は資本評価総額の21%と見られる。

 

4.5 公開、個人及び政府投資-EME地域の状況

EME内の上位の上場企業は、P&O、マースクグループのD/S 1912 & D/S Svenborgで、一般貨物の運航会社である。EME内の公開株式投資の総額は229億ドルと推定される。多くの上場海運会社は、特にスカンジナビアではそうであるが、資本の30%〜50%を同族が保有している同族会社であることに注目すべきである。こういった会社が上場前は、これらの資本は個人投資として定義されるものであった。

 

3 Danishi Ships Credit Fund、Finish Export Credit、KfW/Hermes、COFAC及びSMFC。

 

 

 

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