日本財団 図書館


2 輸送容量の予測

 

2.1 タンカー・バルカーの輸送容量の予測

まず、船種、船型、船齢に関わらず、船舶全体としての総輸送容量(TC)、総建造需要量(TD)、総必要船腹量(TB)及び総解撤喪失量(TL)の関係を整理してみる。ある西暦年(m年)の翌年における総輸送総量(TCm+1)は、その年の総輸送容量(TCm)、一年間で解撤あるいは事故で失われた全ての輸送容量(TLm)及び一年間に建造された全ての輸送容量(TDm)との収支であり、以下のように表される。

TCm+1=TCm-TLm+TDm

TCm:m年における総輸送容量(DWT)

TDm:m年における総建造需要量(DWT/年)

TLm:総解撤喪失量。m年において解撤及び事故により失われリプレースされる輸送容量(TC)の総計(DWT/年)

m:西暦年

 

仮に、総建造需要量(TDm)を、積荷の増加など純粋に市場デマンドによって影響される新規船腹需要量(TBm)と、市場の動きとは独立してある年齢に達した老齢船が一定の割合で解撤されることにより生じる総解撤喪失量(TLm)との和として表現し、かつ総解撤喪失量(TLm)はその年のうちに全量リプレースされるとすると次式が導かれる。

TDm=TBm+TLm

TBm:新規船腹需要量。m年において輸送量の増加に応じて新たに必要となる輸送容量(TC)の総計(DWT/年)

TLm:m年における総解撤喪失量(DWT/年)

TDm:m年における総建造需要量(DWT/年)

 

両式から、m年の輸送容量(TCm)とm+1年の輸送容量(TCm+1)の差分は、以下のように新規船腹需要量(TBm)のみで整理されることになる。

TCm+1=TCm-TLm+TDm

=TCm-TLm+(TBm+TLm)

=TCm+TBm

 

これまで示した考えでは、老船齢船であって輸送に多く従事せず係留されている船についても、その年のうちに完全にリプレースされ輸送に従事することになる。また、実際にはTLmmはm年にすべて建造されるのではなく、m+2年など、数年にわたって建造される場合もある。しかし、タンカー及びバルカーともに、35年船齢を超える船は輸送総量(TC)全体に占める割合としては極めて少ないため、燃料消費量(P)の予測計算上はほとんど影響が無いと考えた。

なお、現実には、総解撤喪失量の全てが同じ年にリプレースされるとは考えにくく、前年、翌年を含めて数年にわたってリプレースされることが予想されるが、今回の目的は各年における燃料消費量(P)のばらつきではなく、長期的な変化をみることであるため、該当年に完全にリプレースされると仮定しても大きな誤差要因とはならないと考えた。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION