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1.4 設定した日当たり燃料消費量の妥当性検証

付録1.1から1.3に示した過程により、船種・船齢・船型別の燃料消費率を、船舶明細書に記載されている1日あたり燃料消費率データ及び航海速力から設定した。本調査で設定した燃料消費率は、船種別あるいは全外航船舶の燃料消費量の計算結果を強く支配する(計算モデル上、燃料消費率が2倍になれば燃料消費量は2倍になる)。この結果、当然のことながらCO2排出量に対しても大きな影響を及ぼす。そこで、今回設定した燃料消費率の妥当性を検討するため、元データである船舶明細書記載の1日あたり燃料消費率の検証を行った。

船舶の燃料消費率については、船の大きさや船速などから理論的に求めることが可能である。その理論式については、日本造船研究協会(1998)29がまとめており、これによれば輸送量(トン・km)あたりのエネルギー消費量H(kcal/トン・km)は次のように表わされる。

基本的なεの定義は次式のとおりである。

 

148-1.gif

 

εについて別の角度からみれば、次の式が成り立つ。

 

ε=H0×SFC×εH (式1)

H0 :燃料発熱量(kcal/kg-Fuel)

SFC :主機燃費(kg-Fuel/PSH)

εH :機関出力から推進エネルギーへの転換効率

 

εH=DHP/Δ×V (式2)

DHP :伝達馬力(PS)

Δ :排水重量トン(ton)

V :船速(knt)

 

148-2.gif

以上により、船舶明細書等からデータが得られた船舶についてはεを算出することができる。その船の仕事量(トン・km/日)は載荷可能量と巡航速度から得ることができるので、これをεに乗じれば理論上の1日あたりエネルギー量が算出され、H0を用いて理論上の1日あたり燃料消費率に換算可能となる。この理論上の1日あたり燃料消費率と、船舶明細書に示された1日あたり燃料消費率を比較することにより、後者の妥当性を検討した。

図1.4-1にタンカーの1日あたり燃料消費率に関する比較を示した。これによると、理論上の燃料消費率と船舶明細書記載の燃料消費率は比較的良好な相関関係を示しており、船舶明細書記載の1日あたり燃料消費率データを船種・船齢・船型別の燃料消費率を算出するための基礎データとして利用することには十分信頼性があると考えられた。

 

29 (社)日本造船研究協会(1998)、「船型改善に関する研究成果活用に関する調査(流力部門)調査報告書」

 

 

 

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