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京都議定書第2条

1. 附属書Iの締約国は、第3条に規定する数量的な排出抑制及び削減の約束の履行に当たり、持続可能な開発を促進するために、次のことを行う。(以下略)

2. 附属書Iの締約国は、国際民間航空機関及び国際海事機関を通じて作業を行い、それぞれ、航空機燃料及びバンカー油から排出される温室効果ガス(モントリオール議定書によって規制されているものを除く。)の抑制又は削減を検討しなければならない。

 

6.2 国際運輸部門の論議

上記のように、国際海運については国際海事機関(IMO)に、国際航空輸送については国際民間航空機関(ICAO)に削減方法の調査・検討が求められている。ここでは、外航船舶に関係のあるIMOの動向を中心に示した。

 

6.2.1 国際海事機関(IMO)における論議

IMOにおける温室効果ガスの本格的な議論は、1999年3月の海洋環境保護委員会(MEPC44)から開始された。シップ・アンド・オーシャン財団は外航船からの温室効果ガスの排出に関する議論にMEPC44以来参加しており、本調査で得られた成果の一部も提出してきた。以下に、各会合の概要を示す。

 

(1) 第44回海洋環境保護委員会(MEPC44;1999年4月開催)

本会合では、COP5において外航船舶から排出される地球温暖化ガスの現状把握と削減オプションの検討がIMOに対して正式に要請されたこと、これに対応するためにIMOが調査委託したコンサルタントレポートの中間報告が提出され、次回のMEPC45において最終報告書の内容が紹介されること、等が事務局から報告された。これに対してパナマ、エクアドルなど複数のUNFCCC非加盟国から経済的なインセンティブの導入に対する反対意見等が述べられたものの、ともかく本会合から外航船舶からの温室効果ガスの排出量に関する論議が実質的に開始されることになった。

シップ・アンド・オーシャン財団は、同会合にタンカーからのCO2排出量とその将来予測に関しての技術レポートを提出した(MEPC44/INF10)。主な発表内容は以下のとおりである。

 

● 原油タンカーによるCO2排出量が外航海運全体の排出量に占める割合は約26%であり、コンサルタントレポートの中間報告結果とほぼ一致している。

● 船腹代替の効果により、2010年における原油タンカーからのCO2排出量は1990年に比べて大きな変化はないと予想される。

● 今後、他の船種、温室効果ガスについて調査を行う予定である。

● 一層の情報交換が必要である。

 

 

 

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