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6 外航船舶の運航に伴う温室効果ガスの削減に関係する海外情報についての調査

 

6.1 気候変動枠組条約締約国会議における論議

CO2を含む温室効果ガスの削減方策は気候変動枠組条約(UNFCCC)の締約国会議(COP;Conference of the Parties to the United Nations Framework Convention on Climate Change)において全体的論議が実施されている。

1997年12月に京都で開催された第3回気候変動枠組条約締約国会議(COP3)において京都議定書が採択され、温室効果ガスとしてCO2、CH4、N2O、HFCs、PFCs、SF6の6種類の物質群を削減対象とすることが決定された。また、陸上発生源からの温室効果ガスの排出量について、削減の義務のある附属書I国においては2008〜2012年の年間排出量の平均を1990年の排出量に対する削減目標として国別に設定し(国別差異方式)、附属書I国全体で平均5.2%の削減を目指す事で基本合意がなされた。この結果、わが国は6%の削減目標(米国7%、EU諸国8%など)に沿って対策を進めることなっている。

引き続くCOP4、COP5にて具体的な削減方策やオプションについて検討される予定となっていたが、今のところ植林吸収量の扱いや排出権取引のあり方などについて各国の合意が形成されているとは言えない。

2000年11月にオランダのハーグで行われた第6回気候変動枠組条約締約国会議(COP6)では、主に、吸収源、京都メカニズムの補完性、遵守制度の3つの点で、EUとアンブレラグループ(非EUの先進国による交渉グループで、アメリカ、日本、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、ロシアなどがこれに含まれる)の間で意見の相違が大きく、最終的な合意を得ることができなかった。また2001年になって米国が京都議定書からの離脱を表明するなど、その実現性については不確定な要因も多い。なお、COP6は2001年の7月に再度COP6 Part2として開催される予定である。

 

内航船舶から発生する温室効果ガスは、各国の国内排出量として排出量削減対策の対象となるが、内航海運に対して総量に関する削減目標などが設定されている国の例は現状では存在しない。日本国においては、平成12年の環境省「地球温暖化防止対策の在り方の検討に係る小委員会」報告書内において、鉄道と航空機の輸送エネルギー効率の改善目標を7%に置いているのに対して、船舶の輸送エネルギー効率の改善目標は3%に置かれているが、平成12年に行われた最新の将来予測では、内航船舶の輸送エネルギー効率は将来に渡って変化しないものとして計算されている(平成13年環境省;温室効果ガス削減技術シナリオ策定調査検討会報告書)。つまり、日本国においても内航船舶に対しては総量での削減目標が設定されておらず、かつ輸送エネルギー効率に関する改善目標も他の交通機関と比較しても低く設定されていることがわかる。

一方、外航船舶から発生するCO2等の温室効果ガスの排出削減の方策については、京都議定書第二条において以下のように国際機関の役割が盛り込まれており、その後のCOPもしくはSBSTA(科学上及び技術上の助言に関する補助機関会合)の席上において国際海事機関(IMO)で国際的に検討することが要請されている。

 

 

 

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