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2.3 代替フロン類(HFCs)漏洩量の推定

IPCC報告書では、以下の13物質を「ハイドロフルオロカーボン(HFCs)」として規定しており、陸上での主な漏洩源は、業務用家庭用の冷蔵冷凍施設およびエアコンディショナー内の冷媒が機器製造時、使用時、廃棄時にそれぞれ漏洩するもの、ウレタンフォームなどの発泡剤としての利用に伴い、発泡時、使用時、廃棄時にそれぞれ漏洩する量が挙げられる。

 

HFC-23、HFC-32、HFC-41、HFC-125、HFC-134、HFC-134a、HFC-143、

HFC-143a、HFC-152a、HFC-227ea、HFC-236fa、HFC-245ca、HFC-43-10mee

 

船舶におけるHFCsの最大の利用分野は冷蔵・冷凍コンテナ(いわゆるリーファーコンテナreefer container)であり、定性的には冷媒再充填時に相当量の冷媒が大気中に放出されることが推測される。なお、R22など「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」の指定物質で実質使用禁止となっているフロン類も既存リーファーに対しては供給されていると考えられるが、今回は対象としない。

国際運輸用の冷蔵・冷凍コンテナについてはこれまでIPCCガイドラインの対象になっていないこともあり、使用に伴う実態把握は困難であった。冷媒の管理について聞き取り調査を行った結果、世界全体の海運向けの冷蔵・冷凍コンテナ向けの冷媒出荷量、販売量もしくは補充量について集計は行われていないことがわかった。同様に、1998年時点で生産された陸上固定用を含めた冷蔵・冷凍コンテナに使用されている冷媒量は、約半分がHFC-134aであり、次いでHFC-143a及びHFC-143という聞き取り結果もあったが、冷媒の種類による冷蔵・冷凍コンテナ個数の集計も全世界的には行われていない。従って、現段階において代替フロンの漏洩量を正確に推定することは困難であると考えられる。また、大型冷蔵・冷凍コンテナの使用に伴う漏洩を考える場合、その全量を船舶運航に伴うものとして扱うかどうかについては異論もあろう。陸上輸送時あるいはコンテナヤード内での漏洩量もあり、特にメンテナンスや廃棄時は陸上で行われる事が通常であるためである。これまでカウントされてこなかった冷蔵・冷凍コンテナの漏洩については、IPCCなどを含めて国際的な場でその帰属についても議論されるべきであり、その前提として、基礎的な統計データの整備が望まれる。

ここでは冷蔵・冷凍コンテナの使用に伴う代替フロン類の漏洩量の目安をつけるため、財団独自で漏洩量の推定を行った。

聞き取り調査の結果をもとに、冷蔵・冷凍コンテナの耐用年数を20年とし、この間に20ft冷蔵・冷凍コンテナの初期冷媒注入量(約30kg)のおおよそ3〜5倍の冷媒量が補給されると仮定した。

現在流通する冷蔵・冷凍コンテナは、Nomadic資料に基づき、1995年流通ベースで約61万TEU、年間6%の伸びがあるものとし1997年の流通量を61万TEU×1.12=約68.3万TEUとする。その全冷媒量は683×103×30kg=20,496tと計算される。その3〜5倍量が20年間で補給され、これが大気中にすべて放出されたと仮定すると、年間の平均漏洩量は以下のように計算される。

 

3倍時20,496×3÷20≒3.07×103t

5倍時20,496×5÷20≒5.12×103t

 

リーファーの冷媒をR134aなどを含む混合物であり、平均的な地球温暖化係数をHCFC-22(R22)の1,700と同等と仮定すると、CO2換算後の排出量は、およそ5.2〜8.7×106t-CO2/年と計算される。

 

 

 

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