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表2.1-2 原油ガスの性状比較

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2MP;2-Methyl Pentane, 3MP;3-Methyl Pentane

 

(2) バラスト航海時のCH4排出状況

バラスト航海時にも、荷室内の圧力変動により原油ガスを含んだイナートガスの排出が考えられる。CH4排出量は、荷室内のガス圧力がほぼ安定した蒸気圧になっているため、荷室内の圧力変動やそれに伴うガスの放出は積み荷時に比較して少ないと考えられる。

バラスト航海時の原油ガスを含むイナートガス放出量は、前出のAPI(1981)によれば、1週間当たりおよそタンク容量の3%程度とされており、本報告書でもその数字を使用するものとする。

 

(3) 揚げ荷時のCH4排出の状況

揚げ荷時には、原油の移動とともに輸送パイプ内及び陸上側タンク内で原油ガスが発生するが、これらのガスは陸上側のグラウンドフレアスタックで助燃剤とともに燃焼処理されている(図2.1-3参照)。従って、原油ガスの環境中への排出はごく少ないものと考えられる。

船舶側では、揚げ荷速度に対して船上のイナートガス発生速度が遅いことがあるため、揚げ荷作業により生じる圧力低下を事前に補填する目的で荷室内をあらかじめ増圧する操作が行われる。この場合もイナートガス排出弁の設定圧力を超えて封入することは少ないため、原油ガスの環境中への排出は少ないと考えられる。

原油ガスの排出量は、API(1981)によれば原油入荷総体積の6%とされており、ここでもその値を使用するものとする。

 

(4) 積み荷時のCH4ガス排出の状況

最も多量の原油ガスが大気中に放出されるのは、積み荷時である(図2.1-4参照)。バラスト航海中に荷室全体に充填されたイナートガスは原油ガスを含んでいる。また、原油の充填に伴って蒸散した原油ガスが積荷に伴って放出される。この間、新たなイナートガスの注入はないため、イナートガス中の原油ガスの濃度は上昇し続け、積荷終了間際には飽和蒸気圧付近の高濃度にまで達していることが予想される(図2.1-5)。

同オペレーションに伴う排出量はかなり多量になると予想されるため、できるだけ詳細な検討が必要となる。そこで、ここでは積み荷時の放出ガス量をシミュレーションにより予想した。また、計算結果を陸上タンクへの積み込み時の調査結果によって検証した。

 

 

 

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