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2 外航船舶の運航に伴うCO2以外の温室効果ガスの排出量に関する調査

燃料消費より排出されるCO2以外にも、外航船舶の運航に伴って他の温室効果ガスが排出されている。京都議定書では、CO2を含めて表2.1-1に示す6物質が、削減対象の温室効果ガスとして指定されている。表中に陸上での主な発生源と外航船舶の運航に伴う主な発生経路について示した。このうち、大きな排出量が予測されるのは、CH4、N2O、HFCsの3物質である。PFCs(代替ハロン類)は消火剤として用いられるが、現在舶用として貯蔵されているものは特定ハロンがほとんどであり、廃棄時以外の漏洩量も無視できることから、PFCsは対象外とした。SF6 についても半導体の製造工程や絶縁体としての利用がほとんどであり、舶用ではごく少量しか利用されていないことから対象外とした。そこで、以下に3物質それぞれの排出量を算定した。なお算定年度は入手可能な統計値などを考慮し、一律に1997年とした。

外航船舶の運航に伴うCO2以外の温室効果ガスについては、排出源の割り当ても明確になっていない。例えば、荷役作業時にふ頭上で発生する排出量を陸上側の排出量としてカウントするのか、船舶の運航に伴う排出量とするのか、あるいは輸送物品の輸出国の責任とするか輸入国の責任とするか、といったアロケイト(割り付け)問題があるが、本章においては外航船舶運航に伴う排出総量を、現状把握のためカウントすることとした。

 

表2.1-1 CO2以外の温室効果ガスの主な発生源

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2.1 CH4の排出量の推定

CH4は質量当たりCO2の21倍の温暖化効果をもっており、相対的に少量でも大きな温暖化影響をもたらす可能性がある。

CH4は、農業や廃棄物埋立地からの放出が多いことが知られている。「気候変動に関する国際連合枠組条約」に基づく第二回の日本国報告書によれば、わが国における1998年のCH4の放出量はおよそ136万トンであるが、その80%以上は農業及び廃棄物埋め立てからの放出が占めている。燃料の未燃焼分等、エネルギー関連の排出は日本国内では13%程度であるが、国外では石油、石炭、天然ガスなど化石燃料の採掘プロセスあるいは陸上輸送プロセスに伴う排出も多い。

一方、外航船舶の運航に伴う排出では、舶用機関からの燃料の未燃焼分としての排出及び原油輸送に伴う漏洩が考えられる。

 

 

 

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