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表D 1997年と2020年における荷動きとCO2排出量の比較

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不明分の燃料消費量を含む

 

4.5 外航船舶の運航に伴う温室効果ガスの排出量削減対策に関する調査

船舶輸送は、他の輸送機関と比較すると、一度に大量の輸送ができるスケールメリットを持ちあわせた輸送手段である。運航経営上において、燃料費はランニングコストの大半を占めていることから、「輸送量あたりの燃料消費量」である輸送エネルギー効率の向上には、これまで多くの努力が払われてきており、同船型同船種で見た場合、1980年代半ばまでに輸送エネルギー効率は40〜60%程度の改善がなされてきた。しかしながら近年は、高速輸送を望む荷主のニーズへの対応などから、全体として輸送エネルギー効率の改善は頭打ち、若しくは若干悪化の傾向が見られている。

外航船舶からの温室効果ガス排出量の大部分を占めるCO2排出削減のためには、輸送エネルギー効率の改善が不可欠である。今後有望な輸送エネルギー効率改善策としては、短期的にはプロペラボスキャップフィン(PBCF)などに代表される推進器の改善、中期的には燃料転換とマイクロバブルなど粘性抵抗の低下を図る技術があり、また長期的には燃料電池、天然ガス改質舶用エンジンなど、機関の大幅なコンセプト変更が考えられた。特に推進器の改善技術については、広範な船舶を対象にレトロフィットも可能であることから、技術の早急な普及が望まれると考えられた。

CO2以外の温室効果ガスに関しては、例えば、タンカーの荷室への積み込み時に発生するCH4は陸上側施設との連携で大きく削減できると考えられる。LNG船と同様のクローズドカーゴシステムは、既に一部の国では採用されており、国内の原油備蓄基地など陸側施設への普及が待たれるところである。また、冷凍コンテナを含む船舶の冷凍施設からのHFCsについても、管理の厳格化、陸上施設での封入レベルの向上技術等の応用により、排出削減が可能であると考えられる。CO2以外の温室効果ガスの削減効果は、仮に排出量が約半量削減できれば、単位貨物量当たりのCO2排出量に換算して2%程度の削減効果が見込めることになり、重要な対策課題であると考えられた。

 

4.6 外航船舶の運航に伴うCO2削減対策に関係する海外情報についての調査

外航船舶の運航に伴い排出されるCO2等の温室効果ガスについて、IMOでは海洋環境保護委員会(MEPC)において削減に向けての議論を1999年3月に開催されたMEPC44より開始しており、既に外部委託した技術レポートが提出されている。2002年に開催されるMEPC47にて外航船舶からの温室効果ガス削減方策を検討するワーキンググループを設置し、議論を本格化させることが決定している。

 

 

 

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