吸着剤の体積を1m3に設定した場合、前述の運行モデルに基づけば負荷率100%でSV=5,000h-1となるが、吸着剤作動時すなわち出港時の平均負荷率を50%と仮定すると排ガス量はSV=3,000h-1に相当する。したがってここでの吸着剤ハニカム成型体のデータ取得条件をSV=3,000h-1に設定した。
100℃から10℃/minで昇温吸着を行ったときの、ハニカム性能試験結果を以下に示す。吸着量および脱離量は7.9cc(s.t.p.)となった。300℃までの総NOx供給量は13.8ccであるため、SV=3,000h-1程度で低温域で排出される全NOxの57%程度が吸着除去できたことになる。
また、今回用いた試作品へのMn2O3・2ZrO2の担持量は2.87グラム程度であるため、吸着剤1グラムあたり、2.75ccのNOを吸着している。昨年度までの結果から、期待できる吸着量は昇温測定で3.3cc/g程度が期待できる。(飽和吸着量はさらに大きい)したがって、現状の担持量のままでもさらに20%増の改善効果が期待できる。