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6. 結論

 

以上、高温高圧容器を使用したメチルエステルの燃焼観察、廃食用油を燃料とした遮熱エンジンの性能試験、急速圧縮膨張装置を使用した廃食用油の燃焼観察を実施した。今年度に得られた結果は以下のようにまとめられる。

(1) 試作した副室式遮熱エンジンにおいて、燃料を廃食用油とした場合における燃焼上の問題点は少ない。

(2) エステル化などの処理・加工することなく廃食用油を、燃料としてそのまま遮熱エンジンに適用できる。

(3) 廃食用油を燃料とした遮熱エンジンでは、軽油とほぼ同等の性能・熱効率を見込める。

(4) 廃食用油では、NOxおよびスモークが低減する。特に、スモークは半減する。

(5) 試作した副室式遮熱エンジンにおいて、廃食用油と軽油との混合燃料としても、十分利用でき、多種燃料エンジンとしての可能性がある。

(6) 副室式遮熱エンジンにおいて、副室における燃料分布とそれによる燃料、混合気、燃焼ガスの早期噴出、主室における燃焼火炎のペネトレーションおよび副室噴流による主室燃焼の促進が性能向上のキーポイントである。

(7) 単気筒エンジンの試験結果に基づき、4気筒エンジンの主要構造部品を設計した。

 

7. 今後の課題と予定

 

遮熱エンジンに燃料として廃食用油を適用することに成功し、軽油燃料とほぼ同等の性能、NOx、スモークの大幅低減の可能性を示すことができた。今後の課題として、以下の項目を解決する必要がある。

(1) 燃焼系の最適化による性能の向上

(2) 多様な廃食用油への対応の可能性

(3) 多気筒エンジンにおける性能の確認

 

 

 

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