エンジンの性能が燃料の噴射特性に大きく左右される直噴式に対して、副室式は燃焼室形状、空気流動等を用いて燃焼をコントロールできる手段が多くあり、低NOx、高い熱効率を両立できる可能性を持つ燃焼方式である。特に、廃食用油を燃料とした場合では通常の燃料に比べて、粘度が高い等、燃料の性状が異なることから燃焼が異なることが予想される。そこで、廃食用油を用いたエンジンでは燃焼過程をコントロールできる手段が多く、また、一般的に低NOxの特性を持つ副室式とした。
2] 副室での過濃、主室での希薄燃焼による低NOx化
燃料の必要空気量に対して、空気が少ない場合(過濃)、逆に多い場合(希薄)にNOxの生成は低下する。また、燃焼は早く終了させたほうが熱効率は向上する。廃食用油エンジンでは、燃焼室を分割した副室に燃料を噴射するので、必然的に燃料に対する空気量は少なくなり過濃な状態になる。また、主室での燃焼を早期に終了させるために、燃料・火炎を連絡口付近に集中させ、早期に主室に噴出させる。
3] 主室への燃料・火炎の分散を向上させるために中央副室式、多連絡口とする
熱効率を高くするために、主室で燃焼を活発に行わせて、燃焼を早期に終了させる。また、副室から過濃な混合気の燃焼ガスが噴出するので、主室では空気と十分混合させた希薄燃焼によってNOxとすすの生成を抑制する。このためには、副室から噴出するガスと主室の空気とが素早く混合させることが必要である。このために、副室をシリンダ中央に置き、放射状に複数の連絡口を設けて、副室から噴出する燃焼ガスを主室に均等に分散させる。