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●作業及び責任の適切な優先化

●不測事態への効率的な対応。

 

水先案内人は、地域港湾の情報そして自己の操船技術、港湾規則の知識、係留作業や接岸作業の技術を船長に提供するために雇用されるのである。水先人が、その職務を遂行するに当たっては予想された障害、あるいは、船橋当直者の中にあって効率よく自分の能力を発揮できるかどうかの岐路に立つ、予想外の障害に遭遇することは日常的なことである。その他、水先人が、遭遇する幾つかの一般的な障害には次のような事態がある:

即ち

●合衆国の港湾に入航する船舶の大多数が、外国籍船で、技術が千差万別の乗組員によって運航されていること

●水先人と船橋当直者間の会話が、同じ日常語で交わされないこと

●水先人が、船橋当直者の知識度、訓練度そして経験度を評価する時間が極めてわずかかほとんどないこと

●水先人が、乗船した船舶に不慣れであること及び操縦性を把握できていないこと

 

これらの障害は、船長、水先人間の信頼関係を効率よく作りあげることで乗り越えられるが、適切な航行計画を押し止めたり、操舵室内にある有益な資源を効果的に使用することを拒んだりするのはよくない。

注30 通常、船橋当直は、船長、当直航海士、操舵員、見張り員そして水先人で構成されている。

 

航海援助用の書籍類…九巻の合衆国沿岸水路誌が、NOAA内にある国家海洋局の沿岸及び地形調査部によって刊行されている。この九巻は、海図に記入できず、また、別の方法では簡単に入手できない航海従事者にとって重要な補助的項目を含め、合衆国とその領土の沿岸水域についての情報を余さず網羅記載している。この刊行物は、港湾施設、水先業務、航行制限区域、風向、風力や潮流、更には運河や狭水道の詳細な情報についても記載している。ヴィンヤード海峡について記載した合衆国沿岸水路誌分冊(注31)は、海図に関して次のように記述している:

最近の調査に基づいて作成された海図にあってさえ、海底障害物や浅い砂洲の総てが記載されているわけではないし、実際の潮高が予報値よりもはっきりするほど低いことがありえる。多くの船舶に応用しなければならない、別の明確な修正…それは、船体沈下に対するものである。この修正は、船底下の水深、船体の形状や速力によって変わるのであり、海図の価値は、作成の基礎となる調査の正確度によるのである。

 

 

 

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