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同COによれば、RR IIの近辺は、“かなりの大石がごろごろし、海底は相当に荒れた状態である。”海図に示された水深39フィートの地点は、RR IIの西方約400フィート、QE2が最初に報告した乗揚地点の北東方約660フィートであることが、ルードによって実証された。39フィートの水深地点につらなる岩場の存在個所と乗揚個所は、次頁の図5に示す。

ルードが得た観測資料で、MLLWの水深は、RR Iで34.2フィート、RR IIで33.6フィートとなっている。MLLWの測深値にNOAAが計算した(+)0.8フィートの潮汐影響を加えると、乗揚時にRR Iでは35.0フィート、RR IIでは34.4フィートの水深があった。

 

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図5. 海図及び測深資料

 

キューナード海運株式会社による委託調査…キューナード社の要請で、アメリカン・アンダーウォーター・サーチ・アンド・サーベイ株式会社(AUSS)は、1992年9月14日から11月14日にかけて、独自の海洋地質(潮汐と海流)及び海底地形調査を実施した。AUSSは、その報告書(注20)で乗揚時の潮汐は、(+)0.6フィートであったと明らかにしている。そして、同報告書は、“一般的に、諸海図は、衝撃を与えた岩石の付近では水深が40フィートに満たない浅瀬の存在を記載している。この浅瀬近くに、おおよそ直径6から12フィートの丸石が存在する、水深35フィート以下の16個所の岩石地帯が見つかっている。”と明示している。それとともに、この調査報告書は、RR IとIIのほかに、“[...QE2]の船底塗料と金属片が付着した4個の岩石が見つかった、”と記している。

この報告書では、AUSSが、QE2と衝突したこの4個の岩石の上下及び水平方向への移動量をどうやって推定かを記述している。AUSSは、これら岩石の上下移動を海底と岩石の表面にある傷んだ海草類との間の垂直距離を巻尺で計測して推定した。しかし、この方法では、3から6回の衝撃について、それぞれの上下移動を正確に測得することは不可能である。上下移動を明確にするには、衝突前における、岩石上方の入手可能な水深を考慮しなければならなかった。AUSSの報告した、潮汐分を加えた事件前後における一般的な水深を、岩石の推定移動量とともに表1で示す。

 

 

 

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