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ケープ・コッドの南、北方を航行する外洋船や沿岸船は、長さが825フィート以下、海面から船体の最高部分までの高さ(エヤー・ドラフト)が135フィート以下で、喫水も32フィート以下のもので、一般的には、バッザード湾やケープ・コッド運河を通過する。ケープ・コッド運河は、ナンテカット礁を避ける内側航路を利用することによって、50から150海里航程を短縮するのである。

QE2の船長は、本船が最後にヴィンヤード海峡とオーク・ブラッフズ錨地を訪れたのは5年ばかり前のことであり、それは、同船長のヴィンヤード海峡への初航海であったと証言した。1991年の秋、QE2は、ロード・アイランド州ニューポート沖合に錨泊したが、天候が悪化して、観光のために旅客を短艇で上陸させることが危険となったため、直ぐにここを出航したのであった。

 

気象情報

事件発生時、カッティハンク島付近の天候は晴朗で、視程は10から15海里であった。風は弱く、東北東から南東の方向から約4から8ノットであった。海上は凪でうねりもなかった。ヴィンヤード海峡の気温は華氏62度ばかりであった。

 

毒物に関する情報

キューナード海運株式会社の法律担当の副部長は、同社の薬物、アルコール検査の手続について尋ねられたとき、宣誓書で“英国法には、船舶乗組員に対して薬物やアルコール検査のことを定めた規定も規則もない。”と証言している。

しかしながら、キューナード社の方針では、もし、合衆国海域で事件が発生し、事件関連の毒物検査を求められたら、船長と乗組員は、合衆国コースト・ガードに協力することになっているのが明らかである。同社は、1992年2月付けの各旅客船船長向けの通達で、“合衆国海域で事件が発生した際には、コースト・ガードは、乗船する権限と事件に関係する乗組員を薬物やアルコール症について検査する権限をもっている。もし、症状が明らにされたなら、その者を拘束する権限も持っている。”と記している。

 

 

 

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