日本財団 図書館


そこからかなり後方に、別に3個所の凹損と円状凹損があった。最初のものは、長さ78フィートで中心線からほぼ14フィートのところ、二番目のものは、長さ240フィートで中心線からほぼ22フィートのところ、三番目のものは、長さ75フィートで中心線から31フィートのところにある。これらの凹損と円状凹損は、4番海水バラスト・ディープ・タンク、2、5と6番海水バラスト・ディープ’タンク8番燃料油二重底タンク、それに14番清水二重底タンクを横切っていた。左舷ビルジ・キールには32フィートに渡り重損が生じていた。

 

タンク内部鋼材…二重底タンク内部の横肋材と縦肋材が、損傷個所で変形(折れ曲り。)していた。その他フォーピーク・タンク、不使用タンク“B”、1、2、3、4、5番ディープ・タンク、と1、3番二重底タンクの内部鋼材に、乗揚発生時に、損傷が生じていた。重要な内部鋼材の損傷は、左舷2、4、6、8、14番二重底タンク、右舷7、9番二重底タンク及び5、10、15番中央二重底タンクに生じていた。

二重底タンクを覆うタンク頂板は、3番船倉の内底板(タンク頂板。)の一個所だけが船体上方に向かって盛り上がっていた。タンク頂板には貫通傷も、海水浸入の跡も見当らなかった。乗揚時に受けた損傷で不使用だった二重底タンクは、海水の浸入があった。

 

水路情報

ヴィンヤード海峡は、北東から南西に向いて続いている。同海峡は、北東をナンタケット海峡で、南東をマーサ-ヴィンヤード島(ヴィンヤード島)で、南西をロード・アイランド海峡で、北西をエリザベス諸島で、それに北方をケープ・コッドの南西部分で囲まれている。エリザベス諸島は、バッザード湾とヴィンヤード海峡とを分離させている。(灯浮標位置、水深とともに関係海域を示した本報告書中の図2及び3参照。)

ヴィンヤード海峡での航行水域には、昼間用と夜間用の航路標識が設置されている。26番灯浮標と28番灯浮標は、ヴィンヤード海峡水路の北方区域を示している。また、“NA”灯浮標は、水路の中央を示し、同灯浮標のどちら側も航行可能である。(図3参照。)8月9日00時09分と03時18分の間にコースト・ガードは、乗揚水域の航路標識の設置位置と灯質とを点検し、同標識が正しく海図に示された地点にあって、コースト・ガードの灯台表に記された灯質で点灯していることが確かめた。

事件発生時に使用していたNOAA海図(13218号、1992年1月11日発行。)は、水路幅が、ほぼ0.7海里あり、水深が平均最低低潮面位(MLLW。注16)で35フィートから100フィートあって、ヴィンヤード海峡の深海部の外海にある合衆国北部錨泊地帯に連なっている。同海峡の北端部にある26番灯浮標から28番灯浮標と海峡の南側にある“NA”灯浮標間までの海峡中央部は、水深30フィート以下の岩礁地帯である。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION