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損傷は、凹損(鋼板が、二重底部分で上に向かって凹んでいる状態。)、円状凹損となって全域にわたっていて、それに伴った船底外板の破損があった。損傷区域は、船首バルバスの後部からディーゼル発電機のある区画の前部まで拡がっている。これは、長さにしてほぼ400フィートである。損傷の幅は、81フィートで、これは左舷ビルジ・キールから右舷の前後方向に並んだ船底外板の“D”厚板キール(注15)の列まで達していた。凹損、円状凹損それに破損は、中心線キール平板の内側及びその両側に存在している。内底板タンク20個とボイド・スペース2個所が、様々な度合いの損傷を受けていた。8、9と10番の二重底燃料油タンクは別にして、損傷タンクのほとんどが、海水バラスト・タンクであった。事件発生時、この3個の燃料油タンクのうち空であった10番タンクから残油が流出したのである。

 

右舷船側外板…乗揚による船体最前部の損傷は、バルバス・バウ部右舷船底外板の、中心線から18インチ離れたところにあって、深さ6インチの凹損と激しく凹んだ円状のものとであった。最も度合いの大きい船底外板の凹損と円状凹損は、平板キールと右舷“A”厚板キール近くにあった。この損傷は、中心線から24ないし42インチ離れて、後方に移るにつれて広さと深さを増しながら、様々な大きさで連続的に凹み、長さほぼ190フィート、幅18から60インチそして深さ1.5から14インチとなっていた。

3個所に見られる最大級の船底外板の破損は、最も激しい凹損部位にあり、ほぼ100フィートもの連続した長さで、平板キールと“A”厚板キールの右舷で生じていた。一番目の破損は、長さ10フィートで、1番二重底バラスト・タンクの部分にあった。二番目の破損は、長さ70フィートで、5番二重底バラスト・タンク、10番二重底燃料油タンク、15番二重底清水タンクの各部分を通して拡がっていた。三番目の破損は、長さ18フィートで、15番二重底清水タンクの部位にあった。主要な凹損とそれに付随した破損痕は、前部発電機室下方の中心線位置で右舷から左舷に平板キールを横切っていた。

注15 厚板キールは、左右両舷の前後方向に並んで組み立てられていて、平板キールから外側に、アルファベット順の名称が付けられている。

個々の厚板キールには、前後列に従って、番号が付けられている。

 

左舷外板…重大凹損と円状凹損とに隣接した場所に3個の損傷が、左舷船底外板にあるのが見つかった。最初のものは、長さ93フィートで中心線からほぼ9フィートのところ、二番目のものは、長さ96フィートで中心線からほぼ9フィートのところ、そして、三番目のものは、長さ105フィートで中心線からほぼ15フィートのところにある。これら3個所の凹損は、フォーピーク・タンクの直ぐ後方にある、1、2、3と4番海水バラスト・ディープ・タンク部位の船底外板にあった。

 

 

 

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