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8月5日の13時00分から翌6日の00時45分まで業務に就き、同日のほぼ03時00分に帰宅し、その日の終日と夕方とを休息に費やした。水先人は、QE2を水先するまでの休息が、不十分であったとは言っていない。同水先人は、8月7日06時00分ごろ起床し、ヴィンヤード海峡とオーク・ブラッフズ間の水先業務のため正午ごろ本船に乗船した。オーク・ブラッフズに錨泊したあと、そのままQE2に在船し、本船のリド・デッキで昼食を摂り、それから発航まで読書や船内の散歩でリラックスした時間を過ごしていた。水先人は、抜錨を始めた時には船橋に上がっていた。

 

船長…本船船長は、外航船の乗船資格を付与した1960年7月発行の英連邦王国(U.K.)運輸省の船長免状を受有していた。1988年4月に有効期間5年の免状更新を済ませている。

船長は、1982年1月からキューナード社の船長を勤めてきた。QE2の船長に就く前にはキューナード・プリンセスとキューナード・カウンテス両船の船長で乗船していた。船長は、1968年に初めてQE2に乗船し、二等航海士、三席一等航海士、中級一等航海士、次席一等航海士そして一等航海士と累進し、1987年11月の出港前に、臨時の客室船長(副船長)として乗船している。そして、1989年11月以降は本船の終身船長として乗船していた。

ヴィンヤード海峡到着前日の8月6日夕刻、20時00分に船長は、船内のレストランの一つを用いた旅客歓迎会に出席し、23時00分ごろまで旅客との食事や談笑にお付合し、そのあと、船橋に上がって夜間命令簿に指示事項を記入した。24時00分船長は、ステージ・ショウの見物に大広間に行ったが、就寝のため直ぐに自室に戻った。約6時間から6時間半の睡眠をとって、07時00分起床した。船長は、調査員に対してこの睡眠時間は“たっぷり”であったと供述している。その日の午後、船橋と自室内とでの仕事の合間に、約1時間の休息をとっている。

 

一等航海士…8時-12時当直の一等航海士は、1974年に英国サザンプトン、ワーサッシュにある商船学校の学生のとき、実習生としてQE2に乗船して海上履歴を始めたのである。卒業と同時に、シェル石油のタンカーに乗船し、17年間に何隻かの乗船経歴を積んできた。鉱石、石炭などの専用船、液化天然ガス専用船それに英仏海峡のフェリーの乗船経験も持っていて、1992年5月にキューナド社に入社し、本船に二等航海士として乗船した。外航船の乗船資格のある1985年10月発行の連邦王国運輸省の船長免状と、併せて液化ガス船に対応する、危険物船乗船適格保証書を1986年11月に受有していた。

一等航海士は、8時-12時の当直に立っているので、通常、午前の当直までに夜間は6時間の睡眠をとるし、午後も普通だと短時間の昼寝をすると述べている。

 

 

 

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