複雑なシステムでは、構成要素間に多くの相互作用があるところから調査中に重要な情報が見逃されたり、紛失するという危険が絶えず存在する。
調査官が作業現場データ収集のための組織上のツールとしてSHELモデルを使用すると、下流の問題点を回避できるようになる。理由は次のとおりである:
.1 重要な作業システムの要素を全て考慮するモデルであること。
.2 作業システムの要素間の相互関係を考慮させるモデルであること。
.3 周辺要素全てを中心的な人的要素(ヒューマンエレメント)に関連させることで、人間の能力に影響を与える要因に焦点をあてるモデルであること
このプロセスはまず「何を、誰が、いつ」という単純化した疑問に答えようとし、次に「どのように、なぜ」というより複雑な質問に移る。ほとんどの場合、こうして得られるデータは行為や条件からなる事象や状況の集積である。その内のいくつかが不安全行為や不安全条件として関係があることになろう。
SHELモデルの構成要素は次の4つである:
人間-L
ハードウェア-H
ソフトウェア-S
環境-E
SHELモデルは通常図式的に表され、4つの構成要素だけでなく、人間とその他の構成要素との関係又はインタフェースも図示する。図1はインタフェースの一致又は不一致がブロック自体の性質と同じくらい重要であるという事実を示そうとしたものである。不一致はヒューマンエラーの発生源になり得るし、不一致の特定はシステムにおける安全の欠陥を明示するものかもしれない。図2には複数の人間、ハードウェア、ソフトウェア及び環境要素が存在する複雑なシステムにこのモデルを適用できる方法も図示している。