従って、事件の調査は直接的原因だけでなく、方針から実施に至る運用管理全体における過誤までも含めて特定するための手段と考えられる。この理由から、調査はこうした最も重要な基準を充足できるほど広範なものでなくてはならない。
2.2.1 調査の時機
調査は事件後できるだけ速やかに実施しなくてはならない。証拠の質、特に、人間の記憶の正確さに頼った証拠は時間と共に劣化し、調査が遅れると直後に実施した調査ほど争う余地のないものとはならないのが普通である。速やかな調査は関係者全てが関与する良い証明にもなる。
2.2.2 事故現場
できれば、事故現場は調査団が検査を済ませるまでそのままにしておかなければならない。それが不可能な場合、例えば、重大な構造的損傷により不可欠かつ緊急の修理を必要とする場合、写真、AV記録又はスケッチ、あるいはその他利用できる手段で現場を書証化し、重要な証拠の保全をはかり又できれば後日状況を再現できるようにする。特に重要なのが現場における個人の配置の記録、機器の状態及び配置、監督者の指示、作業許可及び使用海図である。損傷又は故障した部品は安全な場所に保管し、いくつかの重要物件を詳細に科学的検査しようとする調査団の到着を待つ。このような重要物件は注意して扱う。
2.2.3 目撃情報
事件直後の状況が安定し、人、設備及び環境に対する脅威が去ったら、関係者は自己の事象の記憶を保つ助けとして記憶を書面に書き留める。現地当局が調査権限を引き受けた場合、関係団体/会社はこの当局との連絡窓口を指定し、必要な情報の収集を支援する。必要な場合は、法的支援も用意する。
2.2.4 背景情報
事故現場に行く前に適当な背景情報を得る。背景情報としては下記のものがあるが、これらに限定されない:
- 関係する運転類型の手順