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今後、新新ポンプが設備を増強する、ないしは、日韓の価格格差が拡大するような事態が生じた場合、韓国市場における日本製品のシェアが低下する恐れもある。

 

表:韓国の大手造船所による日本・韓国・欧州製ポンプ競争力比較

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資料:韓国現地インタビュー

 

(2) クレーン

韓国のクレーン市場は、小型クレーン(20t以下)は、韓国製、大型クレーン(20t超)は、輸入製品が市場を占有している。

小型クレーンは、韓国国内で5社程度の企業が生産を行っているが、その中では、東南企業のシェアが最も高くなっている。韓国製クレーンも重要部品は、日本や欧州からの輸入に依存している。部品の調達価格は、高い順にドイツ製、日本製、イタリア製となるが、イタリア製は船主が選好しない半面、日本製は迅速な対応が可能であり、日本製部品に対するニーズが高い。また多くの企業が外国企業と技術提携を結んでいる。小型クレーンは、韓国企業間の価格競争が激しく、輸入製品が韓国市場に入りにくい状況にある。

他方、大型クレーンは、品質、ブランド力を重視する船主が製品を指定するケースが多いために、韓国企業の新規参入はなく、日本企業、欧州企業が市場を占有している。欧州企業の中ではヘグランド、リップヘールが主力である。欧州企業は、韓国にエンジニアを常駐させると共に、造船所と提携して韓国国内でKD生産を行っている。

 

(3) 厨房機器

韓国における船舶用厨房機器市場は、かつては、日本からの完成品輸入が多かった。しかしながら、現在では日本製品は、韓国市場での地位を失っている。その大きな理由は、日本製品の価格の高さと共に、日本製品が日本独特の古い仕様に固執したために、船舶技術の進展(例えば航行速度の上昇)に基づく顧客ニーズとの乖離が生じてきたことが挙げられる。

現在、韓国の厨房市場は、国内製品20〜25%、輸入品70〜75%のシェアとなっている。輸入先はスウェーデン、フィンランド等で、船主指定が多い。国内製品の90%はSamjooが生産している。同社は当初、日本企業との関係構築を模索したものの、日本企業は合弁、技術提携に消極的であったため、最終的にはドイツ企業をパートナーとして選択した。同社は各種認証を取得し、韓国国内のシェア拡大に注力している。現在は、核心部品はドイツから輸入し、ケースの製作、組立を行っている。欧州製品と韓国製品の間の価格差は20%程度であるが、価格差の主な要因は人件費格差である(材料費はほぼ同等)。

 

 

 

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