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図:今後の利益水準に影響を与える諸要因

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6. 主要造船企業の経営戦略

(1) 全般的な動向

大手5社の造船企業のうち、大宇重工業、三湖重工業は事実上、経営破綻し、現在、再建途中にある。韓国の大手造船所は、経営が比較的健全で建造能力も大規模である現代重工業、三星重工業と、それ以外の3社に二極化されている。ここでは現代重工業、三星重工業の2社を中心に、経営戦略を点検することとする。

最近の韓国の造船企業の経営戦略の方向性として特徴的な点は、事業の多角化志向を鮮明にしている点である。特に、現代重工業、三星重工業は、かつての日本の造船企業と同様に、非造船部門を強化し、全社に占める造船部門の比率を低下させることを目指している。その背景としては、造船事業が収益性に波があること、長期的には中国の追い上げが予想されるため、造船事業に次ぐ事業の柱を育成する必要に迫られていることが指摘できる。非造船部門としては、海洋、環境等とともに情報通信事業の育成を注力している。

 

表:現代重工業・三星重工業の造船部門売上高構成比の現状と将来目標

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資料:各種資料より作成

 

もっとも、韓国企業は、造船部門の拡大以上にその他部門の拡大を目指すと言うものであり、造船部門売上高の現状維持や縮小を念頭に置いたものでは決してない。実際、韓国企業は、造船部門でも大幅な売上拡大を目標としている。船種についても、現在の主力であるVLCC、大型コンテナ船から高付加価値船へ幅を拡大しようとしている。

 

 

 

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