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4. 労働力と労働賃金の推移

(1) 労働力の推移

韓国の造船業従事者数は、1999年末現在、約4.7万人となっている。労働力総数は、大幅な設備新増設があった90年代半ばにかけて急増したが、97年末以降、通貨危機の影響で減少している。

内訳別に見ると、技能工が社外工の2倍程度の水準にあり、社内工中心の体制にある点が特徴的である。また、経済危機以降、特に事務職従業員の減少が顕著であり、この部門で特に業務効率化が図られたことが確認できる。

 

表:韓国の造船部門労働力の推移

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注:各社造船部門人員数の合計、年末基準

資料:韓国造船工業協会

 

(2) 労働賃金の推移

1999年の韓国の平均月間労働賃金は、全産業平均154万ウォン、製造業平均144万ウォン、造船業を含めた「その他輸送機器」193万ウォンとなっている。このように、韓国では、造船業の賃金水準は全産業平均、製造業平均を大きく上回っており、賃金水準の産業となっている点が特徴的である。その背景としては、大手造船企業が全て財閥企業であること、労働組合が強いこと、が指摘できる。

造船業の賃金水準が高いために、ホワイトカラー、ブルーカラーを問わず、労働力確保は比較的容易であり、日本で見られるような若年労働力不足問題は顕在化していない。

他方、労働賃金の推移について見ると、次の点が指摘できる。

かつて、韓国では年率2桁の賃金上昇が続いたが、財閥の倒産が相次ぎ、通貨危機が勃発した97年以降、賃金上昇は抑制されたかたちとなっている。

 

 

 

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