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最新鋭浚渫兼油回収船

「海翔丸」について

 

運輸省第四港湾建設局技術課

 

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「海翔丸」建造の経緯

関門航路は狭あいかつ屈曲し潮流の速い海上交通の難所であるとともに、一日約七〇〇隻の船舶が通過する海上交通の要衝でもある。このような中、船舶の大型化への対応や海上交通の安全確保に資する関門航路の整備は極めて重要である。

一方、平成九年一月に発生したナホトカ号の油流出事故等を契機に、大規模流出油防除体制を強化する必要が生じた。

このため、関門航路整備に従事してきた浚渫(しゅんせつ)船「海鵬丸」の老朽化に係る代替船として、また、油回収兼用船として「海翔丸」を建造することとなった。

 

「海翔丸」の特徴

「海翔丸」は海象条件の厳しい海域における浚渫作業や油回収作業が行えるよう、可能な限り最新の技術を取り入れた。

1] 自動化による作業の効率化

前方視界に優れ、油回収状況を確認しながらの操船が可能なよう船首船橋とし、監視室等を集中的に配置し作業効率を向上させている。また、全旋回型推進器およびバウスラスタにより横移動等高度な操船が可である。

さらに、データの一元管理、機器の集中監視、操作の単純化、遠隔操作の採用、故障診断・支援装置の導入等自動化技術を積極的に取り入れ、省力化・メンテナンスの向上を図っている。

2] 効率的かつ精度に優れた浚渫

幅広ドラグヘッド等の採用により海底面の平坦度が向上し精度に優れた浚渫が可能である。さらに浚渫ファジー制御およびリサイクル装置により過剰な海水吸引を排除し、結果として積載土量が増加するとともに海面汚濁が減少する。

3] 様々な条件に対応可能な油回収

高波浪下での効率的な回収作業が可能な大型の舷側設置式油回収器を搭載するとともに、ゴミ除去対策を施している。

また、高粘度の油も回収可能な実績の高い投込式油回収器を搭載し、さらに自船のみでの回収作業を可能とするため自動化された集油ビームを採用した。

主要目

航行区域 近海区域(国際)

全長長さ 一〇三m

幅(型) 一七・四m

深さ(型) 七・二m

計画満載喫水(型) 五・七m

総トン数(国際) 四、六六三トン

泥倉容量 二、〇〇〇m3

回収油槽容量 一、五〇〇m3

回航速力 一三・三ノット

浚渫ポンプ 五、〇〇〇m3/h×二台

油回収器回収能力

舷側式 五〇〇m3/h×二基

投込式 二〇〇m3/h×二基

 

「海翔丸」の運用

「海翔丸」は昼夜にわたり関門航路の整備に従事するが、油流出事故発生の際には現地に急行し油同収を行う。油回収については第五港湾建設局「清龍丸」(名古屋市)および平成十四年配備予定の第一港湾建設局「白山丸」の代替船(油回収兼用船)(新潟市)により、日本国内おおむね二日間で現地に急行できる体制が整うこととなる。

本船は、浚渫・油回収いずれにおいても国内最大級の規模を有する最新鋭の船舶であり、両業務を通じ海上交通安全の確保および海洋汚濁の防止に努め、もって国民の期待に沿えるよう職員一同努めて参る所存である。

 

 

 

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