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そこで必要になるのが、里山の所有者、市民、それに行政の三者のパートナーシップによる里山の保全・管理システムの形成です。

世界は既にグローバルな地球環境危機の時代に入り、さらに資源の枯渇や食糧危機の不安、人口爆発など、様々な問題を抱えてます。英国では、雑木林がパルプ用材やフェンス材料として見直され、管理と活用が再開されています。国内的にはたとえ経済的に引き合わなくても、それだけ熱帯雨林や北洋林が破壊から守られるという地球的視野の価値観に立ってのことなのです。

もはや、いくら生産性を追い求めても、地球環境が左前になってしまっては、どうしようもない事態に直面していることを、国家も、少なからぬ国民も認識しているからです。地球規模での環境破壊や自然破壊が深刻となり、人々の暮らしにまで影響が及ぶ今日、身近な場所での自然とのふれあいや、生きがい、健康づくり、それにコミュニティ形成の一環として、現在では下生えが密生するままに放置されている都市近郊の里山の雑木林を再活用するのは、まさに打ってつけと言えます。

人間が里山に関心を持ち、里山の管理に関わることによって、里山の動植物の生息環境が保持され、里山の自然が育まれます。そして、実はそのような関わりを通して人間もまた、里山によって育まれることになります。

 

 

 

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